Vol.591.電気刺激による末梢感覚刺激が上肢麻痺のパフォーマンスに及ぼす効果とは??
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!上記写真をClick!! PDFでもご覧になれます。→PDF
カテゴリー
タイトル
●反復的な末梢感覚刺激が脳卒中後の上肢麻痺のパフォーマンスに及ぼす効果とは??
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●電気刺激療法では、運動に対する介入ではよく使用するが、感覚への介入としてはあまり使用したことがなく、その設定や効果について学びたいと思った。
内 容
背景
●反復的な末梢感覚刺激(RPSS)による感覚入力の強化は、運動野の興奮性と上肢のパフォーマンスを強化することができます。
●脳卒中患者の上肢の運動機能の改善に対する対照刺激と比較した反復的な末梢感覚刺激(RPSS)の効果のシステマティックレビューとメタアナリシスを実行することでした。
方法
●1948年から2017年12月までに公開された研究を検索し、特定の刺激パラダイムを適用した5つの研究を選択しました。継続的なデータはアクティブまたはコントロール介入の前後のパフォーマンスの違いの平均と標準偏差で分析されました。有害事象も評価されました。
●RPSSは慢性期の脳卒中患者における上肢麻痺リハビリテーションのサポートツールとなる可能性のある安全な介入です。研究の検索は単独で実行されたか追加療法として実行されたかにかかわらず、他の治療と比較した場合に脳卒中患者の麻痺手の運動能力を改善できるという仮説を検証する準ランダム化試験を検索しました。
●刺激の設定は、パルス持続時間は1mm秒、デューティーサイクルは1秒(500mm秒on、500mm秒off)、刺激パルスの周波数は10Hzでした。
結果
●運動能力に対するRPSSの統計的に有意な効果がありました。
●脳卒中後の亜急性期の被験者を含む研究は1つだけでした。慢性期の被験者のみを対象とした研究のサブグループの分析では、不均一性のない有意な効果が示されました。
●慢性期の被験者を含む研究のみを分析したところ、国際生活機能分類(ICF)における障害および健康状態による活動制限の結果だけでなく、心身機能と構造の結果についても有意な結果が得られました。重篤な有害事象は報告されていません。
●脳卒中後の亜急性期の患者に対する一つの研究ではRPSSはARATおよびFMAで統計的に有意なメリットがあり、不均一性はありませんでした。また、ピンチ力への影響は統計的に有意ではありませんでした。
私見・明日への臨床アイデア
●臨床では運動機能に対する介入は良く使用されているように思うが、感覚への介入はあまり実施されている印象は少ない。感覚と言っても、触覚など表面的な感覚か筋感覚など運動に付随する感覚など目的に応じてその刺激やタイミングを変更する必要があると思われる。『感覚閾値』『運動閾値』などは練習を行う上で重要なキーワードと言える。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【脳卒中・上肢・感覚】関連論文
●Vol.543.感覚訓練が脳卒中患者の感覚運動機能を改善するか?
脳卒中の動作分析 一覧はこちら
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)