Vol.593.脳卒中後の回復過程は部位によって異なるの??
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カテゴリー
タイトル
●脳梗塞後の機能的回復は体幹・上肢・下肢で時間経過が異なる??
●原著はTime course of trunk, arm, leg, and functional recovery after ischemic strokeこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●治療を進めるうえで、タイトルにあるように単純に部位によって回復過程が異なるか疑問を持ち、丁度同じようなタイトルの論文を見つけ読むに至った。
内 容
背景
●回復のパターンは時間の経過に伴う身体的回復の可能性、リハビリテーションプログラムの現実的な目標の設定をするにあたっての有用な情報を提供します。今回の研究目的は体幹の回復の時間経過を、上肢、下肢および機能的能力の回復のパターンと比較することでした。
方法
●脳卒中患者は2つの急性期病棟で募集されました。参加者は、脳卒中後1週間、1か月、3か月および6か月で評価されました。
●患者は体幹障害スケール(TIS)、FMAの上下肢テストおよびBIで評価されました。
結果
●発症後1週間から1か月間で最も顕著な改善を示し、脳卒中後1か月から3か月までの間で有意な改善を示しました。発症後3〜6か月間に有意な改善は見られませんでした。
●統計分析では体幹、上肢、下肢および機能回復の時間経過に有意差は見られませんでした。
●結論は脳卒中後の運動および機能回復パターンの個別的な分析から回復のために初月の重要性を確認しました。一般的な考えに反して、体幹の回復の時間経過は、上肢、下肢および機能的能力の回復に似ていました。
私見・明日への臨床アイデア
●部位による障害の差はあれど、その回復に要する時間経過は類似することが示された。その経過では回復のしやすい時期と回復が進みづらい時期が示されている。発症後早期は出来る限り発症前を目指して介入するなど時間経過を意識した治療の組み立てが重要である。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【脳卒中・回復過程】関連論文
●Vol.568.手指伸展機能の回復と把持動作(grasp)の関係性とは? 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)