Vol.594.同時収縮が観察ポイント!?脳卒中片麻痺患者の下肢の安定性と筋活動
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カテゴリー
タイトル
●脳卒中片麻痺患者の立脚期における膝の安定性と同時収縮の関係性
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●臨床において股関節戦略を膝の屈伸で代償していたり、下肢を安定させるために様々な戦略を取る方を見受ける。片麻痺患者の下肢の安定について思考をまとめたいと思い、学習の一助として本論文に至る。
内 容
背景
●脳卒中片麻痺患者の歩行に膝の安定は重要な役割を果たします。ただし、膝の安定性に影響を与える要因は、歩行に関して評価されていません。
●研究目的は、下肢筋の同時収縮が脳卒中片麻痺患者の歩行の立脚期における膝の安定性に貢献するかどうかを調査することでした。
方法
●36〜79歳の合計30人の脳卒中片麻痺患者が参加し、自然な速度で歩くように指示されました。表面筋電図のRMSを使用して、大腿二頭筋と大腿直筋の活動を測定し、同時収縮率はRMSに基づいて計算しました。
●膝伸展のピーク角度は、3次元運動学的分析によって立脚期にデータが取得されました。
●下肢の運動評価のためにFugl-Meyerスケールを使用して下肢機能を評価しました。
結果
●過剰な大腿直筋の同時収縮は、立脚期に生じました。同時収縮率 はheel strike~mid stanceの膝伸展のピーク間に、患者の非麻痺側と比較し、麻痺側下肢の筋で増加しました。観察された差は統計的に有意であり、大腿直筋と麻痺側他下肢筋との過度の同時収縮があることを示唆しました。
●股関節伸展のピーク角度または足関節底屈筋活動について、麻痺側と非麻痺側間に有意差は観察されませんでした。
●筋の同時収縮率は、歩行の立脚期における膝伸展のピーク角度、FMA-LEおよびModified Ashworth Scaleと有意に相関していました。
●我々の結果は、大腿直筋の同時収縮が脳卒中片麻痺患者の膝と下肢機能の安定性に関与することを示し、脳卒中片麻痺患者の歩行中の膝の安定性のリハビリテーションにおいて同時収縮を考慮すべきであることを示唆しています。
私見・明日への臨床アイデア
●大腿直筋は股関節の屈筋、膝の伸展筋として働くが、臨床ではその機能を分離できずにいわゆるstiff knee gaitとなってしまう方も多い。他部位のweaknessが連合反応を強めている場合も多く、当該筋への介入だけでなく根本的原因にも臨床推論の下で介入していきたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【脳卒中・協調性・同時収縮】関連論文
●Vol.449.脳卒中患者は両脚共に遊脚相の膝屈曲角度が減少している!?脳卒中患者における下肢筋活動と遊脚相の膝屈曲角度の関連性
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●vol.328:立ち上がり時の筋活動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)