Vol.609.脳卒中患者の手の浮腫と疼痛に対するロボット支援療法の効果とは??
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タイトル
●脳卒中患者の手の浮腫と疼痛に対するロボット支援療法の効果とは??
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●手の浮腫に対しては徒手療法や課題訓練・物理療法を行うことが多いが、機器を用いた対処法の効果も学びたく学習の一助として本論文に至った。
内 容
背景
●リハビリテーションロボット支援によって提供される一般的に報告されている治療アプローチは次のとおりです。
○ロボットにより補助された受動的な手足の動き:ロボット装置が患者の手足を動かします。
○ロボットにより補助されたアクティブな四肢の動き:ロボットデバイスは、患者が現在の筋力では実行できない動きを実行するのを支援します。
○アクティブな手足の動きに抵抗負荷をかける:ロボットデバイスは、患者のアクティブな動きに抵抗します。
○アシスト/抵抗両手運動:ロボットデバイスは、患者の非麻痺手足のアクティブな動きを認識し、アシストされたアクティブまたはパッシブな手足の動きで患者の麻痺側の手足に再現(ミラーリング)します。
●CPMを使用した慢性期片麻痺患者のグループに関する研究では、上肢の遠位の痙縮の減少が報告されました。他の研究では、CPMは特に亜急性期の弛緩性片麻痺の患者において手の浮腫を軽減するのに効果的であると報告されています。
● 研究目的は、標準的なリハビリテーションに加えロボット支援による受動的な手の動きを行うことで、急性期脳梗塞後の手の痛みや浮腫、痙攣が軽減されるかどうかを、手指の麻痺がある患者とない患者の全員を対象に検討することでした。
方法
● 2013年9月から2013年10月にかけて,脳卒中後に上肢の機能障害がある45歳から80歳の35名を研究対象として募集しました。片方のグループ(Passive ROM群:P-ROM)は上肢完全麻痺の患者16名(平均年齢±SD、68±9歳)、もう片方のグループ(Active ROM群:A-ROM)は部分麻痺の患者14名(平均年齢±SD、67±8歳)で構成されていました。
●両グループの患者は、1日2回、2週間連続で手の受動的モビライゼーションのためにグロリハ・デバイスを使用しました。主要評価項目は手指の浮腫でした。副次的評価項目は、痛みの強さと痙性でした。すべての結果は、ベースライン時と介入直後(2週間)に収集されました。
結果
●結果は部分麻痺群は完全麻痺群と比較し、手の浮腫と痛みの減少が有意に大きいことが示されました。その他の結果は両群で同様でした。痛みの軽減は、臨床的に意味のある最小の差の閾値(MCID)を満たしていませんでした。
●P-ROMグループと比較した場合、A-ROMグループはVASスコアで測定した手関節の浮腫と痛みの軽減に効果を示したことを示唆しています。
私見・明日への臨床アイデア
●臨床的に機器を用いて脳卒中患者(集団屈曲-弛緩程度)の随意的な手のリハを実施することで即時的な浮腫の軽減を目にする。重度の脳卒中患者では随意的な課題が上手く行えず運動量が少なくなってしまうことが多い。機器を用いる事で部分的にでもトレーニングを反復できることは有用と感じる。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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Vol.440.脳卒中後の浮腫に効果的な治療法とは?脳卒中後の浮腫に対する介入のレビュー
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)