歩行における上肢機能が下肢の筋活動に及ぼす影響とは!?脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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歩行における上肢機能の影響について
上肢と歩行の関係性に学びたい方は動画も併せてご覧ください。
カテゴリー
脳卒中 歩行 上肢
タイトル
脳卒中後の歩行中の下肢における上肢運動の影響 The effect of arm movements on the lower limb during gait after a stroke- Jennifer L. Stephenson:Gait & Posture 31 (2010) 109–115
内容
脳卒中後のトレッドミル歩行時の下肢運動と筋活性化における上肢(スライド手すり上における上肢運動)との関係性を検討
結果:上肢運動は下肢の筋活動に影響を与えた
① スタンス時の下肢近位筋の活動は,支持された上肢運動を伴うとき(SUP)に増加 ② スタンス時のヒラメ筋の活動は,支持不十分な上肢運動時(UNSUP)で最大 ③ 立脚初期では,麻痺側下肢のTAの活動は上肢運動を伴わないとき(NO)で最大 ④ 遊脚初期では,両下肢のTAの活動は,支持不十分な上肢運動時で最大 を示した!
●筋活性化の変化の多くは,上肢運動を実行するときに発生した姿勢安定性の変化に起因する
=Many of the changes in muscle activation appeared to be due to changes in postural stability that occurred when performing arm movements
●歩行リハビリテーションに上肢運動を含めることにより,身体に関連する長期的な変化をもたらす
→国内でも歩行における上肢の重要性を後押しする論文はこちら 弓永久哲:歩行における上肢脊髄運動神経機能の興奮性の変化:理学療法科学26(5):567–570,2011
明日への臨床アイデア
支持された上肢運動を伴う場合(≒上肢がActiveにPlacingされている),立脚時におけるQuad & STの筋活動増加とTA & SOLの筋の過活動抑制の結果から,股関節戦略を脱して足関節戦略へ移行し,機能的な歩行への治療介入の糸口となると考えられる. 逆を言えば,上肢が上肢自体をActiveに支持できる状態になければ,股関節周囲筋の筋活動は高まらず,いつまでもTA & SOLの過剰な筋活動のもと,足関節を固定した非効率な歩行となってしまうことが示唆される. これらのことは,立位・歩行時において上肢をただDe-weightしておけばいいというような短絡的な介入手段を再考させるものである. もし,PTが立位・歩行を治療,OTが上肢・Handを治療するといった分業的なチームアプローチの体制であるならば,この研究のような全身的・多角的な視点の重要性を今一度熟考する必要性があると思う.
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)