Vol.615.自己嫌悪感の強い人のアイトラッキングの特徴とは? 脳卒中リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
タイトル
●自己嫌悪感の強い人のEye Trackingの特徴とは?
●原著はSelf-disgust, loneliness and mental health outcomes in older adults: An eye-tracking studyこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●眼球運動に問題を生じている方は多く、姿勢制御との関連性も報告されている。より深く洞察したいと思い、心理面についての本論文に興味を持ち読むに至った。
内 容
背景
●孤独感は主観的な心理状態(孤独を感じること)と定義され、社会的に孤立していなくても孤独感を感じることがあります。孤独とは、その人が望む社会的相互作用と、意味のある社会的関係を通じてそれが満たされる度合いとの間にある、ギャップを意味します。慢性的で持続的な孤独感は、心理的機能や生活の質の低下、睡眠問題、収縮期血圧などの心血管疾患の危険因子の増悪、自殺傾向などとかかわりがあるとされています。
●自己嫌悪は臨床的および非臨床的集団における孤独およびメンタルヘルスの問題と関連がありますが、高齢者の孤独およびメンタルヘルスの状態と自己嫌悪感の関わりについての研究は限られています。
方法
● 研究1(N=102、年齢平均=68.4歳)では横断的調査を使用して、孤独、自己嫌悪、メンタルヘルスの結果の関連を調査しました。
●研究2(N=80、年齢平均=68.8歳)では、視線追跡課題を使用して、自己嫌悪感が高い(低い)人の注意機能について調査しました。
結果
●研究1では自己嫌悪感が孤独感と不安・抑うつ症状との関連性を媒介することを明らかにしました。
●研究2では自己嫌悪感が強い高齢者は未知の他者の顔に比べて自分の顔の写真に対して注意回避を示すことが示され、このプロセスが孤独感を永続させる可能性があることが示されました。
●調査結果は斬新であり、孤独と高齢者のメンタルヘルスの状態に対する自己嫌悪感の重要性を強調しています。
私見・明日への臨床アイデア
●臨床では様々な性格・心理状態の患者を受け持つ。そのような側面から上手く治療効果を出せない療法士も多いと思う。自己嫌悪感とは違うが、入院患者では多くの方が短期間で今まで出来ていたことが出来なくなり、無力感を感じられる。本人の思いを引き出し、少しでも自己効力感を高められる関わり方は重要である。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)