Vol.617.島皮質と聴覚機能について~音声知覚における時間情報処理~
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カテゴリー
タイトル
●島皮質と聴覚機能について~音声知覚における時間情報処理~
●原著はAuditory temporal processing deficits in patients with insular strokeこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者における感覚フィードバック訓練として聴覚フィードバックについて興味を持ち、基礎を学ぶべく本論文に至った。
内 容
背景
●島皮質とその隣接領域に脳卒中を発症した患者の中枢性の聴覚機能を評価することを目的としています。
方法
●本研究では、島皮質とその隣接領域に脳卒中を発症した8名の患者と神経学的に正常な8名の対照者(年齢、性別、利き手、聴力閾値を患者と一致させた)を募集しました。
●病変部位は3名の患者では隣接する聴覚領域を免れ、5名の患者では他の聴覚構造を含んでいました。
●著者らは純音聴力検査とティンパノメトリー検査を実施しました。二分音符を含む中枢性の聴覚検査バッテリーと持続時間パターン、周波数パターン、騒音下でのギャップテストの3つの時間的テストを行いました。また、来院時の症状や急性期の神経心理学的評価データを病院のカルテから情報収集しました。
結果
●中枢性の聴覚障害検査では島皮質関連の患者ではすべてのケースで異常な結果が得られました。
●聴覚の時間的分解能検査では病変の反対側に3例、両側に5例の異常が見られました。
●島病変は、中枢性の聴覚機能に影響を与える可能性があり時間的分解能と時間的順序付けに影響を与える可能性があります。
●中枢性聴覚障害は、急性期における認知機能障害の有無とは関連していなかったです。
私見・明日への臨床アイデア
●島皮質領域の損傷の患者では、聴覚における時間的順序、つまり連続する単語の区切りなどを十分に情報処理できていないかもしれない。相手に話しかける時に、単語同士の隙間時間なども患者によっては考慮できるとコミュニケーションが捗るかもしれない。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)