痙縮筋に対するボトックス治療が脳活動と運動機能に与える影響とは? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 医療者
  4. 痙縮筋に対するボトックス治療が脳活動と運動機能に与える影響とは? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
医療者

痙縮筋に対するボトックス治療が脳活動と運動機能に与える影響とは? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

痙縮筋に対するボトックス治療が脳活動と運動機能に与える影響とは?見出し1

痙縮筋に対するボトックス治療が脳活動と運動機能に与える影響とは?見出し2

 

脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)

 

 

STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!上記写真をClick!! PDFでもご覧になれます。→PDF

 

カテゴリー

 

脳卒中 脳科学

 

タイトル

集中的痙縮筋のボトックス治療後の脳卒中患者における脳皮質活性変化と運動機能の改善ー連続的にfMRIを用いた介入研究

原著はCortical activation changes and improved motor function in stroke patients after focal spasticity therapy–an interventional study applying repeated fMRI Bergfeldt U:BMC Neurol. 2015 Apr 11;15:52こちら

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

●脳卒中患者のボトックス治療後の集中的な痙縮筋への治療に関わることがあり、筋だけでなく脳活動にはどのような影響を与えているのか知りたいと思ったため。

 

内 容

 

背景

 

●手指機能に障害を負った脳卒中患者は臨床上の問題としてよく見られる。集中的な痙縮筋への治療後の機能改善は立証されているが主要な関連性についての知識は乏しい。そのため脳活動を連続的FMRIを用いて治療中も継続して調査した。

 

●研究目的は標準的運動課題に応答する包括的な集中的痙縮筋治療後の脳卒中患者の運動機能と中枢神経システム(CNS)の関連性を分析すること。

 

方法

 

●6名の右上肢麻痺と痙縮を有する慢性期の脳卒中患者(平均年齢66歳の女性4名)が研究に参加した。筋肉内ボツリヌスAタイプ(BoNT-A)注射を含む集中的痙縮筋の治療後の影響は機能検査で3つの時期(ベースライン・6週・12週)に評価された。

 

●脳への影響はfMRIを用いた血中酸素濃度依存(BOLD)手技によって,同じ時期に標準運動課題中の運動野と前運動野にフォーカスして評価(ブロードマンエリア4a、4p、6)された。対象群として、10名の健常者(平均年齢51歳の女性5名)は6週の間隔で2度調査された。

 

結果

 

●痙縮筋の治療後、5~6名の患者に有意な痙縮の減少と機能改善が見られた。運動課題に応答して脳活動では運動野と運動前野に1.5-3%の上昇が見られた。

 

●ベースライン時に対側半球で比較すると、より非障害側(同側)でこれらの上昇が大きかった。健常者と比較すると患者では,特に同側で有意に高い脳活動(2–4.5 times)が示された。治療後、同側で大きな減少、対側で少ない減少が見られた。

 

12883_2015_306_Fig3_HTML

 

(a)介入前(b)介入後 (出典:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4450484/)

 

●すなわち、全てのエリアにおいて正常な方向に左右で明らかな側性化がみられた ※側性化:特定の知的活動は左右いずれかの半球に偏在すること。

 

まとめ

●包括的な集中痙縮治療は運動機能の改善に加えて左右の側性化を“正常化”するという脳の再組織化に関連した。特定のブロードマンエリアにおいてBOLD強度の数値は治療後の損傷側の脳においてニューロンの過活動の抑制を示した。

 

 

私見・明日への臨床アイデア

 

●セラピストの介入ではないが,痙縮筋の治療が運動機能だけでなく脳の再組織化に関与している興味深い文献であった。痙性治療において変化を知覚することが,脳の可塑性を急速に進めていると思われる。そこで,私たちセラピストでもこのようなことが可能か?という問いを自分自身に投げかけたい。私たちからボツリヌス毒素は出せないが、脳神経科学の観点から私たちが患者様に対して感覚や運動や自分自身に生じる変化を知覚させることは可能であり、そのことが脳の可塑化を促進に繋がることも周知の事実となってきている。逆説的考え方ではあるが,痙性の抑制治療は対象者に知覚を変化させ,脳の可塑性を促すことが重要とも言えるのではないでしょうか?そう考えると普段の声かけから変わりそうです。

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

 

 

 

脳卒中の動作分析 一覧はこちら

 

論文サマリー 一覧はこちら

 

脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら

 

 

 

STROKE LABの療法士教育/自費リハビリを受けたい方はクリック

臨床の結果に悩んでいませんか?脳科学~ハンドリング技術までスタッフ陣が徹底サポート

厳しい採用基準や教育を潜り抜けた神経系特化セラピストがあなたの身体の悩みを解決します

CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

Social Media フォロー↓↓↓
誠心誠意の機能回復サポート
脳卒中・パーキンソン病専門の個別リハビリ施設
病院リハ継続・更なる機能回復を目指します。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階
株式会社STROKE LAB
03-6887-5263
ACCESS