足圧中心(COP)から見た片麻痺患者の屈曲姿勢の原因とは??脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
脳卒中 神経系
タイトル
脳卒中後における体幹屈曲の動的分析 Dynamic Analysis of Trunk Flexion After Stroke Sylvie Messier:Arch Phys Med Rehabil Vol 85, October 2004
内容
目的・対象
●脳卒中片麻痺者における体幹運動と下肢の体重負荷を健常者と比較して定量化すること。
●脳卒中後片麻痺者(Fugl-Meyer Assessment運動機能点数:63~95/100)と健常者を対象とした。
方 法
●分離した床反力計上に自己の足を各々のせ,さらに床反力計上に置かれた椅子に座る。
●Task:額をターゲットに触れること。
●Outcome:体幹の動きにおける①振幅②速度③圧力中心(COP)変位,④臀部・足底おける体重割合の分布
結 果
●片麻痺者は健常者と同等の速度・振幅にも関わらず,足底での小さい体重負荷値と少ないCOP変位を示した 。
結 語
●COPの変位減少と足底の小さい体重負荷に伴う体幹屈曲の類似した振幅は,身体質量の前方変位を示唆している。
●片麻痺者の体幹運動は,非常に少ない骨盤前傾に代わって上部体幹での代償で実行されていることを示す。
明日への臨床アイデア・感想
●Sit to Standにおける屈曲相に関わる部分で臨床的ヒントを得られる知見であった。
●片麻痺の方は,麻痺側へCOPが変位する傾向にあるにも関わらず,麻痺側足部・臀部の効率的なWeight Transferができず,代償的に上部体幹の屈曲に頼ってしまっているとのこと。
●代償的な上部体幹の屈曲は,Momentum Transfer相における体幹の水平移行も阻害しますし,立位へ向けた体幹伸展への切り替えも難しくさせ,立位での活動にまで影響を与える可能性を示唆します。
●臨床的には,麻痺側BOS(座位では主に臀部・足底)に関わる筋が,自己の筋活動で麻痺側にもたれかかるかのように変位するCOPを垂直方向へ誘導し,動作時における麻痺側の座圧・足圧を如何に高められるかがポイントであり,その結果がMidlineに近づいた効率的な屈曲相となるのだと思います。
●ADL自立のために非麻痺側優位・変位したSTS指導も大切です.しかし,その指導の効果を高めるためには,治療時にしっかりと麻痺側のActivationを図る必要性があるのではないかと感じます
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)