【2024年最新】下垂足の原因と治し方とは?鶏歩・内反の評価・治療・リハビリまで解説 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年最新】下垂足の原因と治し方とは?鶏歩・内反の評価・治療・リハビリまで解説

学生さん
学生さん
実習で下垂足の患者さんを数名見学させてもらいました。疾患は脳卒中と整形外科領域で異なっており、下垂足についてもっと深く学びたいので教えてほしいです。

 

ストロボ君
ストロボ君
下垂足は様々な原因から起こる可能性がありますね。今回は、原因から治療法まで基礎を解説していきます。

 

下垂足(drop foot)の概要

 

下垂足の図

 

 

下垂足(drop foot)は病気自体ではなく、神経学的・解剖学的または筋肉的な問題によって生じる一般的な症状です。前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋などがうまく働かないと、歩行時に足先を十分に背屈できず、図のように足部が下垂してしまいます。

また、足首や足の背屈筋が弱いと内反変形を引き起こし、遊脚相でつま先が地面に触れないよう股関節や膝関節の屈曲を強調して歩く鶏歩がみられることがあります。これにより足先の引っかかりや転倒リスクが高まります。

 

足関節背屈筋を強化するだけでなく、拮抗する底屈筋や足底筋のケア、可動域の改善も重要です。足関節背屈の制限や底屈筋の過緊張なども、背屈不十分の原因となり得ます。

 

    下垂足(Drop Foot)の一般的な原因

     

    ■下垂足の主な原因
    前脛骨筋・趾伸筋の麻痺

     

    下垂足の原因として最も有名なのは前脛骨筋の機能低下ですが、臨床では前脛骨筋単独では不十分な場合もあり、指伸筋や腓骨筋など外反筋の機能が重要となります。

     

    下垂足という定義には当てはまりませんが、足関節背屈制限や底屈筋の過緊張なども足関節の背屈不足につながります。

     

    背屈筋を鍛える上で拮抗筋の柔軟性向上や可動域の維持が欠かせません。

     

     

     

    下垂足のメカニズムと病的過程

     

    下垂足(drop foot)は上位・下位運動ニューロン経路のさまざまな病態が重複して生じるため、病変部位を特定するのが難しい場合があります。主な損傷メカニズムは次の3つに分類されます。

     

    1)圧迫障害

     

    腓骨神経は腓骨頭付近で表在化するため、圧迫に弱く、長期の寝たきりや体重減少、ギプスのきつさ、手術中の圧迫などが原因で麻痺を起こしやすいです。梨状筋付近で坐骨神経が圧迫され、足下垂を生じる場合も報告されています。

     

    ・ICUでの長期ベッドレストや複数の神経を巻き込む重症多発性神経炎、糖尿病による易感染性・易損傷性なども下垂足の発症要因になります。

     

    腰部神経根症のうちL5神経根の障害も一般的な原因で、椎間板ヘルニアや骨・靭帯による圧迫が関与します。

     

    2)外傷性傷害

     

    坐骨神経障害は股関節の外傷や手術に起因することが多く、単神経障害としては2番目に多いパターンです。骨盤手術や放射線療法による合併症でも起こり得ます。

     

    3)神経系疾患

     

    シャルコー・マリー・トゥース(CMT)は遺伝性の末梢神経障害で、下肢筋力の低下や変形が特徴的です。

     

    脳卒中による片麻痺でも足部の背屈障害が出現し、下垂足として表れることがあります。上位運動ニューロンの病変では筋緊張の亢進や反射亢進も加わる場合があります。

     

    臨床的に重要な解剖学的構造

     

    総腓骨神経

    図引用元:visible bodyより

    総腓骨神経はL4,5,S1,2の後方分枝からなり、腓骨頭の後方から腓骨頸部に沿って走行します。損傷により前脛骨筋や足背屈筋の筋力低下が生じます。

     

    腓骨神経の詳細は下記記事も併せてご覧ください。

     

     

    下垂足の評価

     

      病歴

       

      病歴では、膝の外傷、最近の脊椎・四肢手術、神経系疾患の家族歴などを中心に確認します。

        疼痛

         

        総腓骨神経の損傷では神経原性疼痛を伴う場合があり、足背や膝外側に生じることが多いです。感覚変化も併発していれば神経損傷を疑います。

         

          足関節背屈の評価

          EMG 図引用元:Effect of walking speed changes on tibialis anterior EMG during healthy gait for FES envelope design in drop foot correctionより引用

           

          自動運動の評価に加え、筋電図(EMG)や神経伝導検査を用いることもあります。

            なぜEMGをやるの?

            1. 神経因性原因と筋障害性原因の区別:
            神経因性では腓骨神経障害や腰仙神経根障害などが考えられ、ミオパチーの場合は筋線維自体の異常が示唆されます。EMGはこうした病態の区別に有用です。

            2. 神経関与のレベルの特定:
            神経が脊髄レベル、神経根、末梢神経などのどこで障害を受けているかを明らかにできます。
             
            3. 重症度と慢性度の評価:
            急性・慢性の除神経所見や再神経支配電位の有無などで状態の把握や予後推定が可能です。
             
            4. 予後の補助:
            EMG所見は回復の可能性を示唆する指標にもなり得ます。
             
            5. 指導的な治療:
            外科的介入か保存的治療かの選択、神経減圧部位の特定などに役立ちます。
             
            鑑別診断:
            腓骨神経障害、腰仙神経根症、坐骨神経障害、運動ニューロン疾患、筋ジストロフィー、シャルコー・マリー・トゥース病などを絞り込むためにもEMGは有用です。

              足関節背屈の予後が良好な疾患は?

              圧迫または外傷による腓骨神経障害:軽度の圧迫や外傷が原因であれば、圧迫除去や理学療法で大きく改善が期待できます。
               
              椎間板ヘルニアによる腰仙骨神経根症:保存的治療や必要に応じた外科的治療で回復するケースも多いです。
               
              急性神経損傷: 神経が切断されていなければ回復の見込みがあります。理学療法や神経解放手術で改善が期待されます。
               
              軽度の脳卒中:リハビリテーションを早期に導入することで足背屈機能の改善が望めます。
               
              炎症性疾患:ギラン・バレー症候群などの急性炎症性脱髄性多発神経障害は適切な治療により予後良好な場合が多いです。
               
              術後の神経回復: 外科手術後の神経損傷でも、理学療法や神経解放で回復が見込まれます。

                身体検査

                 

                全般的な静的姿勢の評価

                 

                前面・側面・背面の3方向から姿勢を観察します。

                 

                 

                全般的運動評価

                全体を見る6つのポイント

                ①アライメント

                ②運動パターン

                ③可動性

                ④タイミング

                ⑤スピード

                ⑥力

                ⑦姿勢制御

                 

                下垂足の患者さんは足関節制御が困難なため、膝や股関節で代償しがちです。患者本人がどのように対処しているかを把握するため、3次元的に姿勢や動作を評価しましょう。初学者は患者の動きを真似しながら観察し、自分の身体でも再現してみると理解が深まります。

                 

                歩行の評価

                下垂足

                 

                どのような臨床場面でも歩行評価は欠かせません。下垂足患者さんの歩行パターンは個人差が大きく、患側の股関節屈曲を増やしたり、前足部が床をこするような歩行をする方もいます。

                 

                アウトカム評価

                 

                足関節機能障害指標(Foot and Ankle Disability Index)
                ・機能的歩行分析
                ・オックスフォードスケールを用いた足背屈筋のハンドヘルドダイナモメーター

                 

                下垂足の評価には上記指標がよく用いられます。スタンモア式下垂足評価(Stanmore assessment of foot drop)などを実施する場合もあります。

                 

                治療介入

                 

                総腓骨神経麻痺後には背屈筋群(L4/5)の麻痺で足下垂が残ることがありますが、1年以内に3分の2の患者で消失するとの報告もあります。神経障害性疼痛がある場合は適切な鎮痛薬を用いて疼痛管理を行うことも重要です。

                  運動療法

                   

                  理学療法では段階的なエクササイズで背屈を促し、筋萎縮を防ぎ回復をサポートします。シャルコー・マリー・トゥース病など一部の神経疾患では前脛骨筋トレーニングが効果的とされる一方、筋ジストロフィーなどでは顕著な有効性が認められていません。神経病変患者は拘縮予防も大切です。

                   

                    下垂足と電気刺激

                    電気刺激によって患部筋群を活性化する方法は、回復の促進に寄与する可能性があります。詳細は下記記事をご覧ください。

                     

                      装具・スプリント

                       

                      下垂足に対しては装具使用が一般的です。AFOやフットアップスプリントなどで足の位置を適切に保持し、歩行時のつま先引っかかりや転倒リスクを軽減します。

                       

                       

                       

                      症状のステージや個々の状態に応じ、適切にセラピーを組み立てることが大切です。

                       

                      STROKE LABにおいて期待できること

                       

                      ・病院では深く取り組みにくい足部の繊細な動きの改善

                      ・担当者の技術や経験年数に依存しない継続的なサポート

                      ・足部や足関節の可動性(副運動も含む)の改善

                      ・全身の姿勢から最適な足部の使い方を模索

                      ・日常生活動作を快適にするための方策

                      ・装具やスプリントに関する相談

                      ・適切な自主トレーニング指導

                       

                       

                      下の動画は当施設で行っている足部治療の一例です。個々の状態に合わせて内容は異なりますが、ご参考ください。

                       

                       

                       

                      STROKE LABのセラピーは「姿勢連鎖セラピー」です。足部(局所)のみならず全身を通して足部機能を高めるアプローチを行います。動作の専門知識を持つプロフェッショナルが、個別の課題に寄り添い解決を目指します。ぜひお気軽にご相談ください。

                       

                      ぜひお気軽にご相談ください!

                      無料相談はこちら  ☜ 予約ページへリンクできます。

                       

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