【2023年版】1-3年目までに向け・理学療法士・作業療法士が評価や治療計画で陥りやすいミスと対策! – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2023年版】1-3年目までに向け・理学療法士・作業療法士が評価や治療計画で陥りやすいミスと対策!

治療立案までのプロセスはどうすればいい?

 脳卒中などの神経系疾患のリハビリテーション治療プログラムを立案する際のプロセスは、各患者のユニークなニーズと能力を考慮した多次元的なアプローチが必要となります。このプロセスは、1)評価、情報収集2)目標設定、3)治療プログラムの立案、4)進行状況の監視と治療の調整という4つのテーマに分けられます。

 

評価、情報収集

 この初期段階では、患者は包括的な医学的および機能的評価を受けます。これらの評価には、神経学的検査、運動能力評価、認知機能および言語-言語テストが含まれることがあります。この情報は、治療チームが脳卒中の影響の程度と患者の現在の能力と課題を理解するのに役立ちます。

【多角的な評価】

・医学的評価:これは全般的な健康状態、脳卒中のタイプと範囲、関連する医療問題(例えば高血圧、糖尿病、心疾患など)についての情報を含みます。

・神経学的評価:これは脳卒中が身体のどの部分に影響を及ぼしたかを評価します。例えば、運動能力、感覚、視覚、言語、注意、記憶など身体機能、高次脳機能についての評価が含まれます。

・機能的評価:これは日常生活活動(ADL)の能力(例えば食事、入浴、着替え、移動など)を評価するものです。また、より複雑な課題(例えば料理、運転、金銭管理など)のための器用さや独立性も評価されます。

・心理的および認知評価:これは記憶、注意、実行機能、言語、認識、思考の問題など高次脳機能の評価します。また、抑うつ症状や不安などの感情的な問題も評価されます。

 

 

 情報収集は、患者の全体像の理解、医療チーム間の一貫性のあるケアとコミュニケーション、治療計画の追跡と調整、潜在的な健康リスクの識別、そして法的記録の提供といった多面的な目的を果たします。これらは全て、最適な患者ケアの品質と結果を確保するために重要な要素です。

【必要な情報】

・医療歴:これは脳卒中の詳細(発症日、影響範囲、タイプ)、同時発症疾患、過去の手術、薬物アレルギー、現在の薬物、家族歴などを含むべきです。

・評価結果:これは神経学的評価、機能的評価、心理的および認知評価の結果を含むべきです。

・治療計画と進行状況:これは以前および現在のリハビリテーション計画、治療の進行状況、達成された目標、課題、修正が必要な領域などを含むべきです。

・生活スタイルと社会的状況:患者の職業、住環境(例:階段の有無)、社会的サポート(家族や友人からのサポート)なども重要です。これらの情報は、リハビリテーションプログラムの成功を左右する可能性があります。

このような情報は、リハビリテーション計画が患者の独自のニーズと目標に対応していることを確認し、効果的な治療戦略を開発するために必要です。

目標設定

 患者、その家族、そして医療チームとの協力の下で、個別化されたリハビリテーションの目標が設定されます。これらの目標は、運動能力の改善、機能の回復、コミュニケーションの強化、日常生活のタスクでの自立度の増加などを含むことがあります。目標は–SMART–であるべきです。

・相談とコミュニケーション:患者との開かれたコミュニケーションを通じて、その希望、期待、生活スタイル、社会的状況などを理解します。これにより、患者が自身のリハビリテーションに積極的に関与することが可能となり、その達成可能性が高まります。

・目標設定:『SMART』具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Relevant)、時間制限がある(Time-bound)の五つの基準(SMART)を用いて目標を設定します。

・他職種連携の協力:医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、リハビリテーションチーム全体で目標設定のプロセスに参加します。各専門家は、自身の専門知識を活用して、目標設定に貢献します。

【目標設定ツール】

評価ツール 評価目的
GAS 個々の患者の特定の目標に焦点を当て、その達成度を定量的に評価する
COPM 患者の日常生活の中での職業的なパフォーマンスと満足度を評価し、個々の患者の目標設定に役立てる
BI 日常生活活動(ADL)の能力を評価し、食事、入浴、着替え、移動などの基本的な生活スキルに対する患者の能力を評価する
FIM 日常生活の中での機能的な独立性を評価し、身体的な活動と認知的な活動の両方をカバーする
ADOC 日常生活活動(ADL)の詳細な評価を提供し、介護の必要性を明確にする
興味関心チェックリスト

患者の興味や関心を評価し、個々のリハビリテーション目標に対する動機づけを支援する

治療プログラムの立案

 評価結果と設定された目標に基づいて、リハビリテーションプランが設計されます。このプランには通常、運動能力と力を向上させるための理学療法、日常生活のタスクのための作業療法、コミュニケーションと嚥下問題のための言語・言語療法、認知と感情の問題のための神経心理学が含まれます。これらの療法の頻度、強度、期間は、患者のニーズと耐容度に合わせて調整されます。

脳卒中患者にはそれぞれ固有の課題や能力があるため、具体的なアプローチは常に個別化されるべきです。

以下の表では、脳卒中後に起こりうる特定の障害を対象とした、さまざまな種類の治療介入の一般的な概要を説明します。

種類 内容と目的
理学療法 (PT) 運動機能、バランス、協調性、持久力の向上。筋力トレーニング、バランスエクササイズ、歩行訓練、移動エクササイズなどが含まれる。また、ベッドから椅子への移行訓練、階段の登り下り訓練、転倒防止も含まれる。
作業療法 (OT) 日常生活スキル、例えば着替え、料理、食事、入浴などの向上。補助装置の使用訓練、上肢エクササイズ、認知リハビリテーション(注意、記憶、問題解決スキル等)、知覚訓練(感覚情報の理解と解釈に関連する問題)が含まれる。
言語療法 (ST) 言語と発語(失語症)、嚥下(嚥下障害)、認知的コミュニケーションに困難を感じる患者に重要。言語エクササイズ、言語訓練、代替的なコミュニケーション方法、嚥下エクササイズが含まれる。
神経心理療法 記憶、注意、遂行機能、気分、行動に問題を抱える患者を助ける。認知リハビリテーション、カウンセリング、気分と行動を管理する戦略が含まれる。
レクリエーション療法 患者が脳卒中前に楽しんでいたレジャー活動に戻るのを助ける。また、生活の質と精神健康を改善する新たなレジャー活動を患者が発見するのを助ける。
職業リハビリテーション 職場に戻りたいと望む個人向け。職業評価、職業コーチング、職務修正戦略などのサービスが含まれる。

 

 

治療法の選択と各治療法の重点の置き方は、個々の患者さんのニーズ、目標、進捗状況によって決定されます。また、患者さんのご家族をリハビリテーションのプロセスに参加させ、必要に応じて教育やサポートを提供することも重要です。場合によっては、バーチャルリアリティVRやロボット工学などの新しい技術が、脳卒中のリハビリを強化するために使用されます。

 

進行状況の監視と治療の調整

 患者の進行状況を追跡し、必要に応じてリハビリテーションプランを修正するために、定期的な再評価が必要です。患者が予想される進歩を達成していない場合、予想より早く目標を達成した場合、または新たな症状や合併症が発生した場合には、変更が必要となることがあります。

再評価のタイミングは、個々の患者の状態と進行に大きく左右されます。再評価を行うタイミングの目安は以下です。

・リハビリテーション計画の開始時: 患者の現在の機能レベルと目標を評価します。

・リハビリテーションセッション後: セッションの効果を評価し、必要に応じて計画を調整します。

・定期的な間隔で(例えば、週に1回や月に1回など): 患者の進行を追跡し、目標達成の度合いを評価します。

・目標達成時またはリハビリテーションの終了時: 患者の最終的な成果を評価します。

 

新人療法士がミスしやすいことは何?

 療法士としての仕事は、医療知識、実践的なスキル、対人能力の組み合わせが必要となる複雑な職業です。そのため、新人が始めたときには、いくつかのミスを犯すことが珍しくありません。一般的に新人療法士が行いやすいミスをお伝えします。

・不十分な患者評価: 新人の療法士は、患者の医療履歴、ライフスタイル、個人的な目標について十分な情報を収集しないことがあります。これにより、患者のニーズに完全に合わせた治療計画が作れないことがあります。

・現実的でない目標設定: 患者の状態と能力に基づいて、達成可能で意義のある目標を設定することが重要です。過度に野心的で現実的でない目標は、失望、意欲の低下、治療への非遵守を引き起こす可能性があります。

・コミュニケーションの不足: 療法士は、患者、その家族、およびその他のケアに関与する医療専門家との間で明確で開かれたコミュニケーションを維持する必要があります。新人の療法士は、治療計画、その目的、および予想される結果を患者やその介護者に十分に説明しないことがあるかもしれません。

・継続的な学習の不足: 医学と治療は新たな研究と技術で常に進化する分野です。新人が最新のエビデンスに基づいた実践に追いつかないことは、治療計画に悪影響を及ぼす可能性があります。

・進行または後退への適応不足: 患者の進行は常に予想した経路をたどるわけではありません。初心者の中には、患者の変化する状態と能力に応じて治療計画を調整しない人もいるかもしれません。

・標準化された評価への過度な依存: 標準化された評価は重要ですが、新人の療法士はこれらに過度に依存し、患者の個々の違いを考慮に入れない場合があります。治療計画を作成する際には、臨床的な推論と観察も重要です。

・不十分な記録: 患者の進行を追跡し、他の医療専門家とのコミュニケーションを行い、法的な目的のためには、正確で適時な記録が重要です。新人は十分に頻繁に記録を行わないかもしれません。

・計画に患者を関与させない: 患者中心のリハビリテーションは、患者を意思決定プロセスに関与させます。新人の中には、この側面を軽視し、患者の好みや懸念を考慮せずに、自分の専門的判断だけで計画を作る人もいるかもしれません。

これらは全ての新人の経験を示すものではなく、ミスは学習過程の一部です。メンターシップ、継続的な教育、経験は新人の療法士がこれらの一般的な落とし穴を時間とともに緩和するのを助けます。

【ミスへの対処法は?】

ミスの種類 対処法
不十分な患者評価 患者の詳細な医療履歴、ライフスタイル、目標をきちんと収集し、それに基づいた個別の治療計画を作成する。
現実的でない目標設定 患者の状態と能力に基づいて達成可能で意義のある目標を設定する。
コミュニケーションの不足 患者、その家族、そしてその他のケアに関与する医療専門家との間で明確で開かれたコミュニケーションを維持する。
継続的な学習の不足 最新のエビデンスに基づいた実践についての継続的な教育を追求する。
進行または後退への適応不足 患者の進行に合わせて治療計画を定期的に評価し、必要に応じて調整する。
標準化された評価への過度な依存 標準化された評価と臨床的な推論を組み合わせて、患者の個々の違いを考慮に入れた治療計画を作成する。
不十分な記録 治療の進行に合わせて詳細かつ適時に記録を行う。
計画に患者を関与させない 患者を意思決定プロセスに関与させ、治療計画の作成に患者の意見と懸念を考慮に入れる。

 

 

 最後に、脳卒中からの回復には長い時間がかかり、患者さんと治療チームの両方が忍耐と粘り強さ、前向きな姿勢を持つことが必要であることを忘れないでください。時間をかけて適切なリハビリを行うことで、脳卒中患者の多くは機能的な能力と生活の質を大幅に向上させることができます。

 

 

 

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