【2024年版】COPM(カナダ作業遂行測定)評価用紙・メリット・デメリットは? 手順は?作業療法士向け – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年版】COPM(カナダ作業遂行測定)評価用紙・メリット・デメリットは? 手順は?作業療法士向け

COPM カナダ作業遂行測定とは?

 

カナダ作業遂行測定法(COPM)は、1980年代後半にカナダの作業療法士によって開発されました。開発チームは、Dr. Mary Lawによって率いられ、彼女とその同僚たちは、セラピストがクライアントの作業遂行に対する認識を時間をかけて理解するための測定法が必要であると認識しました。このツールは、クライアントの視点と治療への参加を優先し、専門職がよりクライアント中心のアプローチに移行することと一致していました。

COPMは1991年に正式に発表され、それ以降何度も改訂されてきています。最新版は5版です。現在、この測定法は40カ国以上で使用され、多くの言語に翻訳されています。

COPMは、作業療法士や他の医療専門家が、クライアントの日常生活における遂行能力の自己認識を時間経過で測定するために使用されるよう設計されています。このツールは、セルフケア、生産活動、レジャーの3つの領域を評価します。

半構造化インタビューのプロセスを通じて、セラピストとクライアントはクライアントの作業遂行の問題を特定します。次に、クライアントはこれらの特定された領域での遂行能力と満足度を1から10の尺度で評価します。治療介入後、クライアントは遂行度と満足度を再評価し、時間経過での変化を測定します。

COPMは、身体と精神の健康、小児科、老年科、コミュニティベースのプログラムなど、多くの設定で一般的に使用されています。このツールは多様で適応性があり、幅広いクライアントの集団に適しています。

 

COPM評価用紙

以下にカナダ職業能力評価尺度(COPM)のフォームの簡略版を日本語で示します。このツールは、セルフケア、生産性、レジャーの領域でのクライアントの作業パフォーマンスの自己認識を測定するために作業療法士によって使用されます。このフォームは説明用であり、公式のCOPMフォームを置き換えるものではないことをご了承ください。

 

項目 作業の問題 重要度(1-10) 遂行度(1-10) 満足度(1-10)
1
2
3
4
5

使用方法:

  1. 作業の問題: 被評価者が日常生活で直面している問題を具体的に記述します。
  2. 重要度: 被評価者がその問題をどれだけ重要と感じているかを、1(最も低い)から10(最も高い)のスケールで評価します。
  3. 遂行度: 被評価者がその問題に対してどれだけ上手に対応できているかを、1(できない)から10(完璧にできる)のスケールで評価します。
  4. 満足度: 被評価者がその遂行度にどれだけ満足しているかを、1(全く満足していない)から10(非常に満足している)のスケールで評価します。

このテーブルは療法士と被評価者が協力して完成させ、評価後の介入計画の策定に役立てます。

 

 

COPMの実施例

 

目標

重要度 (1-10)

遂行度 (1-10)

満足度 (1-10)

1. 自分で食事ができる

9

3

2

2. 自宅での移動能力の向上(例:ベッドからバスルームへの移動)

10

2

2

3. 上半身の着替え

8

3

3

4. 入浴/シャワー時の安全性

9

2

2

5. 趣味の園芸を楽しむ

8

2

2

例として上記2つの目標の理由を解説

食事が自分でできる:この患者さんは、これを非常に重要と感じています(10点満点中9点)。これは、自分で食事ができることが日常生活や自立にとって必要不可欠な要素であると考えていることを示しています。しかしながら、遂行度は低い(10点満点中3点)ため、このタスクに対して大いに苦戦していることがわかります。さらに、満足度も低い(10点満点中2点)ので、現在の自己摂食の能力には不満を感じているようです。

遂行度と満足度が低いということは、患者さんが現在、自己摂食に難しさを感じ、自分の能力に満足できていないことを示しています。このような不満感は、変化や改善への大きな動機付けになります。そして、それが治療の目標や介入の方向を決定する手助けとなります。

家庭内での移動能力を高める(例:ベッドから浴室への移動):クライエントさんはこのタスクを非常に重要と感じています(10点満点中10点)。これは、このタスクが彼らの自立性や生活の質に大きく関わるためです。しかし、遂行度は非常に低い(10点満点中2点)ため、この課題を達成するのは非常に困難であると考えています。同様に、満足度も低い(10点満点中2点)ので、現在の移動能力に対しては大変不満を感じています。

移動能力の遂行度と満足度のスコアが低いということは、この分野には大きな配慮が必要であり、リハビリテーションの主な焦点とすべきであることを示唆しています。また、ここでの不満は、患者さん自身が移動能力を向上させるためにリハビリテーションに一生懸命取り組む動機付けにもなるでしょう。

遂行度と満足度によって、セラピストは進歩の度合いを測定し、時間と共にどのように変わっていくかを観察することができます。遂行度と満足度が向上すれば、それは介入が効果を発揮し、患者さんが目標に向かって進歩していることを示しています。逆に、スコアが低いままだったり、下がった場合は、現在の介入戦略が効果を発揮していない可能性があり、戦略の再評価が必要であることを示しているかもしれません。

 

COPMの実施手順は?

カナダ作業遂行測定(COPM)は半構造化された面接プロセスであり、その実施は一般的に以下のステップを踏みます。

①導入と説明: 評価者(通常は作業療法士)はクライエントにCOPMについて説明します。これには、測定の目的、内容、クライエントがこのプロセスから何を期待できるかを説明することが含まれます。

②問題の特定: クライエントは、やりたいこと、やらなければならないこと、あるいは期待されているが困っている日常的な活動を特定するよう求められます。これには、セルフケア、(仕事や学校などの)生産性、余暇活動(レジャー)などが含まれます。

③重要性の評価: クライアントには、特定された各問題の重要度を1(重要でない)から10(非常に重要)までの尺度で評価してもらいます。これは、どの問題に最初に焦点を当てるべきかの優先順位付けに役立ちます。

④遂行度と満足度の採点: 次に、(重要度評価で決定した)上位5つの問題について、現在の遂行度とその遂行度に対する満足度をそれぞれ点数化してもらいます。遂行度も満足度も、1(できていない/できない/まったく満足していない)から10(非常によくできている/非常に満足している)までの尺度で評価されます。

⑤採点と解釈 作業療法士は平均遂行度スコアと満足度スコアを算出し、クライ アントの作業パフォーマンスに対する認識と満足度を総合的に評価します。

あるクライエントがCOPMの面接で5つの職業的パフォーマンスの問題を特定したとします。クライエントとセラピストはそれぞれの問題をパフォーマンスと満足度の観点から以下のように評価しました:

食事を自分で食べる:遂行度3  満足度:2
移動能力の向上: 遂行度:2  満足度 2
上着の着脱: 遂行度:3  満足度: 3
入浴やシャワー時の安全性 遂行度:2  満足度:2 
趣味の園芸を楽しむ:遂行度2  満足度: 2
平均遂行度スコアを算出するには、各タスクの遂行度スコアを合計し、タスク数で割る:

(3 + 2 + 3 + 2 + 2) / 5 = 2.4

これが平均遂行度スコアです。

次に、満足度についても同じことをします:

(2 + 2 + 3 + 2 + 2) / 5 = 2.2

これが満足度の平均点です。

この例では、クライアントの平均遂行度・スコアは2.4、平均満足度スコアは2.2です。これらのスコアは、クライアントの作業遂行度に対する認識と、それに対する満足度の指標となります。これらの平均値は、将来のスコアと比較するための基準値となり、セラピーによる進歩の度合いを測るのに役立ちます。

⑥治療計画: COPMの結果はクライエントの治療計画立案の指針となります。治療計画は、問題であると特定された領域におけるクライエントの遂行度と満足度の改善に焦点を当てるべきです。

⑦レビューと再評価: COPMは定期的に再実施し、クライアントの遂行度と満足度の経時的な変化を追跡する必要があります。これは、クライアントが進歩しているかどうか、治療計画に変更が必要かどうかを判断するのに役立ちます。

重要なことは、COPMは訓練を受けた専門家が実施し、クライエント中心のツールであること、つまりクライエントの視点、目標、優先事項がプロセスを導くべきであるということです。

脳卒中患者を例に

作業療法士とクライエントのCOPM面接シナリオ

登場人物

  • 作業療法士(OT): 田中先生
  • クライエント(CL): 山田さん

場面設定

田中は、山田さんと向かい合い、その日の光が差し込む静かなリハビリ室で、会話を続けていた。半年前に脳卒中を患った山田さんは、今もその影響を感じながら生活している。


田中先生(OT):
「こんにちは、山田さん。今日は、あなたの生活の中で大切だと感じる活動について話して、それがどのくらい遂行できているか、そして満足しているかを詳しくお聞きしたいと思います。COPMという評価を使うことで、リハビリの目標を立てやすくするためです。まず、日常生活で重要だと思う活動は何ですか?」

山田さん(CL):
「こんにちは、田中先生。そうですね、毎朝の身支度がとても大事です。シャワーを浴びたり、服を着るのにとても苦労しています。」

田中先生(OT):
「なるほど、身支度は毎日の活動ですから重要ですね。重要度を1から10で評価するとどれくらいになりますか?」

山田さん(CL):
「10点です。やはり、毎日のことですから、ちゃんと自分でできるようになりたいです。」

田中先生(OT):
「ありがとうございます。では、現状で身支度をどのくらい遂行できていると感じますか?1点が全くできない、10点が問題なくできるという評価です。」

山田さん(CL):
「遂行度は…2点です。ほとんどできていないです。」

田中先生(OT):
「わかりました。では、その活動にどのくらい満足していますか?」

山田さん(CL):
「満足度は1点です。自分でできないのがとてもストレスです。」


田中先生(OT):
「次に、他に重要だと感じる活動は何かありますか?」

山田さん(CL):
「料理も大事です。以前は毎日自分で料理をしていましたが、今は包丁を使うのが怖いし、長時間立っているのも難しいです。」

田中先生(OT):
「料理は日常の楽しみでもありますよね。では、その活動の重要度はどれくらいでしょうか?」

山田さん(CL):
「10点です。料理ができることは生活の一部ですから、とても重要です。」

田中先生(OT):
「わかりました。現状で料理をどのくらい遂行できていると思いますか?」

山田さん(CL):
「遂行度は3点です。少しはできる時もありますが、全然満足できていません。」

田中先生(OT):
「その料理活動への満足度はいかがですか?」

山田さん(CL):
「2点です。好きなことなのに、思うようにできなくて残念です。」


田中先生(OT):
「他に重要だと思う活動はありますか?」

山田さん(CL):
「友達と外出することです。友達と過ごす時間が大事ですが、今は歩くのが不安定で外出するのが怖いです。」

田中先生(OT):
「それは重要な社会的な活動ですね。外出の重要度を1から10で評価するとどうでしょうか?」

山田さん(CL):
「10点です。友達と一緒にいる時間は、私にとってとても大事です。」

田中先生(OT):
「では、現時点でどのくらい外出できていると感じますか?」

山田さん(CL):
「遂行度は1点です。外出するのがとても難しく感じます。」

田中先生(OT):
「外出に対する満足度はどうでしょうか?」

山田さん(CL):
「1点です。全然できていないので、不安が大きいです。」


田中先生(OT):
「ありがとうございます。これで、各活動の重要度、遂行度、満足度がわかりました。これから、リハビリの目標を一緒に考えていきましょう。まずは身支度から始めましょう。自分でシャワーを浴びて服を着ることを目標にし、そのために必要な練習を考えていきましょう。」

以下は、山田さんが評価した各活動の重要度、遂行度、満足度の点数をまとめた表です。

活動 重要度 (10点満点) 遂行度 (10点満点) 満足度 (10点満点)
身支度 10 2 1
料理 10 3 2
友達との外出 10 1 1

精神科疾患を例に

場面設定

金子は、丸山さんと向かい合い、穏やかな光が差し込むカウンセリングルームで会話を始めた。数ヶ月前に精神的な不調を経験し、リハビリを続ける丸山さんには、回復の兆しが見え始めているが、まだ自信を取り戻しきれていない様子だった。


金子先生(OT):
「こんにちは、丸山さん。今日は、生活の中で大切だと感じる活動についてお話しし、それがどのくらい遂行できているか、そして満足度も評価していきたいと思います。COPMという評価を使うことで、リハビリの計画を立てていきます。まず、日常生活で重要だと思う活動を教えていただけますか?」

丸山さん(CL):
「こんにちは、金子先生。そうですね…。最近は外に出ることが減ってしまいましたが、散歩するのが本当は好きで、以前はよく外に出かけていました。」

金子先生(OT):
「散歩はリフレッシュにも良いですし、心にも大切な影響がありますね。では、その活動の重要度を1から10で評価するとどれくらいでしょうか?」

丸山さん(CL):
「重要度は10点です。外に出ることは本当に大事だと感じます。」

金子先生(OT):
「ありがとうございます。では、現状で散歩がどのくらい遂行できていると感じますか?」

丸山さん(CL):
「遂行度は2点です。最近はほとんど外に出ていません。」

金子先生(OT):
「わかりました。その活動に対する満足度はいかがでしょうか?」

丸山さん(CL):
「満足度は1点です。ほとんどできていないので、ストレスを感じます。」


金子先生(OT):
「他に重要だと感じる活動はありますか?」

丸山さん(CL):
「読書です。昔から読書が好きで、よく本を読んでいましたが、最近は集中力が続かず、あまり楽しめていません。」

金子先生(OT):
「読書はリラックスにもつながる良い活動ですね。重要度はどのくらいでしょうか?」

丸山さん(CL):
「重要度は10点です。昔から大事にしていたことなので、また楽しめるようになりたいです。」

金子先生(OT):
「了解しました。現状で読書がどのくらい遂行できていると感じますか?」

丸山さん(CL):
「遂行度は4点です。少しは読めることもありますが、以前のようには楽しめていません。」

金子先生(OT):
「その読書に対する満足度はいかがですか?」

丸山さん(CL):
「満足度は3点です。楽しめることが減ってしまい、少し残念に感じます。」


金子先生(OT):
「他に重要だと思う活動はありますか?」

丸山さん(CL):
「友達と会うことです。以前はよく友達と会って話していたのですが、今は会うのが少し怖くて、外出すること自体が難しくなっています。」

金子先生(OT):
「友人との交流は、社会的な活動として非常に重要ですね。重要度を1から10で評価するとどのくらいですか?」

丸山さん(CL):
「10点です。友達との時間は私にとって大切です。」

金子先生(OT):
「では、現時点で友人との交流がどのくらい遂行できていると感じますか?」

丸山さん(CL):
「遂行度は1点です。ほとんど会えていません。」

金子先生(OT):
「その活動に対する満足度はどうでしょうか?」

丸山さん(CL):
「満足度も1点です。会いたくても行動に移せないのがつらいです。」


金子先生(OT):
「ありがとうございます。これで各活動の重要度、遂行度、満足度が把握できました。これから、それぞれの活動を改善するためのリハビリの目標を一緒に考えましょう。まずは散歩から始めましょうか?」

丸山さん(CL):
「はい、少しずつでも外に出られるようになりたいです。」

金子先生(OT):
「わかりました。次に、読書の目標を設定しましょうか?」

丸山さん(CL):
「集中力を取り戻して、もう少し本を楽しめるようにしたいです。」

金子先生(OT):
「了解しました。最後に、友達との交流について目標を考えましょう。」

丸山さん(CL):
「少しずつ外出して、友達と会えるようになりたいです。」

金子先生(OT):
「ありがとうございます。それでは、具体的なプランを立てて、これらの目標に向けてリハビリを進めていきましょう。」

以下は、丸山さんが評価した各活動の重要度、遂行度、満足度の点数、およびリハビリ目標をまとめた表です。

活動 重要度 (10点満点) 遂行度 (10点満点) 満足度 (10点満点) 目標
散歩 10 2 1 少しずつ外に出られるようになる
読書 10 4 3 集中力を取り戻し、読書を楽しめるようになる
友達との交流 10 1 1 少しずつ外出して、友達と会えるようになる

COPMの活用時のコツは?

COPMは、クライエント中心の評価ツールであり、クライエントが重要だと感じる活動に焦点を当て、リハビリテーションの計画を立てるために非常に効果的です。

1. クライエント中心のアプローチ

COPMは、クライエント自身が評価することが重要なツールです。以下の点に留意してクライエント中心のアプローチを行います。

  • クライエントの声を重視する:クライエントが自分の生活で重要と感じる活動を自由に話せる環境を作ります。その際、クライエントの選択や価値観を尊重し、クライエントが主体的に評価できるよう支援します。
  • 対話を通じた目標設定:COPMを通して、クライエントの希望や価値観に基づいた目標設定を行います。クライエントが自分の目標を達成することへのモチベーションを高めるため、目標の設定プロセスにしっかり関与させます。

2. オープンな質問の使用

クライエントが自分の生活における困難や重要な活動を自分の言葉で表現できるように、オープンな質問を使用します。

  • 例:「最近の日常生活で特に困っていることはありますか?」や「どのような活動ができると気分が良くなりますか?」といった質問で、具体的な問題を引き出します。
  • オープンな質問を使うことで、クライエントが考えていることをより深く理解することが可能となり、その人らしいリハビリ計画の立案につながります。

3. 評価項目の具体化

COPMでは、重要度、遂行度、満足度をそれぞれ評価しますが、これらの評価が曖昧になりがちです。そのため、以下の工夫を行います。

  • 具体的な活動内容に焦点を当てる:例えば、「散歩する」という活動を「毎朝10分間、公園で散歩する」など、より具体的にイメージできるようにします。これにより、クライエントが評価しやすくなり、目標も具体化されます。
  • 評価の基準を共有する:クライエントが1~10点で評価する際に、評価の基準を共有し、スコアのつけ方をわかりやすく説明します。例えば、10点は「問題なくできる」、1点は「全くできない」というように。

4. 小さな目標の設定

精神科領域では、クライエントの自信や自己効力感が低下していることが多いです。そのため、小さな目標を設定することで成功体験を積ませる工夫が必要です。

  • 段階的な目標設定:大きな目標に向かって、小さなステップに分けて目標を設定します。たとえば、「友人と外出する」という大目標に対して、まずは「近所を散歩する」「カフェで一人で過ごす」などの段階的な目標を設定します。
  • 成功体験を強調する:小さな進歩でも積極的に評価し、フィードバックを行います。クライエントが自己効力感を持てるようにし、モチベーションの向上につなげます。

5. 繰り返しの評価とフィードバック

COPMはリハビリの進行に合わせて定期的に繰り返し評価することで、その効果を確認します。

  • 変化を見える化する:再評価することで、クライエント自身が進歩を実感できます。特に、精神的な症状が安定しない場合でも、定期的に評価を行うことでモチベーションの維持が期待できます。
  • フィードバックを重視する:評価の結果をフィードバックする際には、クライエントの努力を認め、改善点や新たな目標を設定するためのヒントを提供します。

6. 柔軟な対応

COPMの使用では、クライエントの状態に合わせて柔軟な対応が必要です。

  • 面接のタイミングを調整する:精神状態によっては面接を行うタイミングを調整したり、休憩を挟んだりすることが必要です。
  • クライエントの言葉を受け止める:クライエントが言葉で表現しにくい場合は、観察を通じてその表情や態度から状況を把握するよう努めます。

COPMを用いることで、クライエント自身が主体的に目標設定に関わり、自分の生活を見直すプロセスを通じてリハビリの効果を高めることができます。これらのコツを実践することで、クライエントの自立支援と回復に向けたプロセスをより効果的に進められるでしょう。

COPMのメリット・デメリットは?

メリット デメリット
個別性: 個々の患者のニーズと目標に基づいて評価が行われ、個々の改善を明確に追跡できます。 時間がかかる: 詳細な自己報告と評価が必要で、セッションに時間がかかることがあります。
利用者中心のアプローチ: 患者が直面している困難や改善したい活動を自ら選定することで、治療への動機付けが高まります。 主観性: 評価は利用者の主観的な意見に大きく依存しており、客観的な測定と比較して変動が大きい場合があります。
成果の可視化: 介入前後でのパフォーマンスと満足度のスコアを比較することで、明確な成果を示すことができます。 訓練が必要: 効果的に実施するには療法士がCOPMの使用方法を正しく理解し、訓練を受ける必要があります。
広範囲の適用: 様々な年齢層や状態の患者に適用可能で、非常に汎用性が高いです。 文化的適合性: 異なる文化や言語背景を持つ利用者に対して、適切な適応が必要な場合があります。

エビデンスは?

カナダ作業遂行測定法(COPM)に関連する研究では、以下のような重要なポイントが挙げられています。

  1. 測定特性: COPMは、多様な患者集団や条件において信頼性と応答性が高いことが確認されています。これにより、クライアント中心の成果を正確に捉えるツールとして広く認められています。

  2. 臨床応用: COPMは、地域リハビリテーションなどの様々な臨床環境で効果的に使用され、その柔軟性と実用性が強調されています。

  3. クライアント中心のアプローチ: COPMは、クライアントの価値観や優先事項に基づいた目標設定を促進し、治療成果を向上させることが示されています。

これらの研究結果により、COPMは作業療法において不可欠なツールとされています。

さらに詳細な研究については、アメリカ作業療法学会誌(American Journal of Occupational Therapy)などの研究データベースで確認できます​ (AOTA Research)

まとめ

結論として、COPMは作業療法の分野における強力なツールであり、クライアントの視点をケアの最前線に持ってくるものです。それは一定の制限を持ってはいますが、その汎用性、クライアント中心の考え方、そして結果に焦点を当てることは、世界中の作業療法士にとって貴重なリソースとなっています。

 

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