【2024年版】パーキンソン病の最強評価!UPDRS の評価表・パートⅠ・Ⅱ・Ⅲの項目やカットオフ値
UPDRSとは?
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統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)は、パーキンソン病の重症度や進行度を測定するために用いられる包括的なツールです。1980年代に開発され、臨床および研究の場で広く使用されています。このスケールは3つのパートに分かれています:最新のMDS-UPDRSは4つのパートに分けられます。
統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)は、パーキンソン病の重症度や進行度を測定するために用いられる包括的なツールです。UPDRSの各パートは、それぞれ異なる得点範囲を持ち、得点が高いほど症状が重いことを示します。ここでは、各パートのカットオフ値の内訳を紹介します:
精神、行動、気分(パートI): このパートは16点満点です。4つの項目(知的障害、思考障害、抑うつ、不安、無関心)はそれぞれ0から4までのスケールで評価されます。
日常生活動作(ADL)(パートII): このパートは52点満点です。13項目(言語、嚥下、手書き、着替え、衛生、転倒、唾液分泌、寝返り、歩行、食べ物を切るなど)のそれぞれを0から4までのスケールで評価します。
運動検査(パートⅢ): このパートは56点満点です。14項目(発話、表情、安静時振戦、動作・姿勢振戦、硬直、指たたき、手指運動、手足の急速交互運動、脚の敏捷性、椅子からの立ち上がり、姿勢、歩行、姿勢安定、体の徐動・低動)のそれぞれを0~4点で評価します。
UPDRSは通常、神経内科医などの訓練を受けた医療従事者が実施し、患者の症状や日常生活への影響を正確に評価することができます。また、特にADLの項目で、患者さんに自己申告をお願いすることもあります。評価には、患者さんの状態に応じて、20分から1時間以上かかることもあります。
UPDRSにはバーグバランススケールのような転倒のカットオフ値はあるの?
パート | 説明 | 項目数 | スコア範囲 | カットオフ値 |
---|---|---|---|---|
I | 精神状態、行動、および気分 | 4 | 0-16 | 軽度: 0-4、中等度: 5-8、重度: 9-16 |
II | 日常生活動作(ADL) | 13 | 0-52 | 軽度: 0-13、中等度: 14-26、重度: 27-52 |
III | 運動機能検査 | 14 | 0-56 | 軽度: 0-14、中等度: 15-28、重度: 29-56 |
カットオフ値の解釈:
- 軽度: 日常生活および運動機能への影響が最小限であることを示します。
- 中等度: 日常生活および運動機能に顕著な影響があり、ある程度の介入が必要です。
- 重度: 日常生活および運動機能に重大な影響があり、広範な介入と管理が必要です。
UPDRS I. 精神、行動、気分
UPDRSのパート1、つまり「精神、行動、気分」のセクションを掘り下げてみましょう。この部分は、認知、気分、行動に影響を与えるパーキンソン病の非運動症状を評価するために設計されています。4つの項目から構成されています:
パートI:精神機能、行動および気分(合計点16点)
1. 知的機能の障害(Intellectual Impairment)
質問: 知的機能に障害がありますか? 評価:
- 0: なし
- 1: 軽度。記憶に問題があるが、部分的に思い出せる。他の認知機能には影響なし
- 2: 中等度の記憶障害と見当識障害があり、複雑な問題に対する処理能力が低下している。家庭内でも軽度ながら明らかな障害があり、ときに介助を必要とする
- 3: 重度の記憶障害。時間と場所の認識に大きな問題がある。問題解決能力に重大な障害がある
- 4: 非常に重度の記憶障害。人に対する認識のみが保たれている。判断や問題解決が不可能で、日常生活に大きな介助が必要である
2. 思考の障害(認知症または薬物の副作用による)(Thought Disorder)
質問: 幻覚や錯乱がありますか?(認知症または薬物の副作用による) 評価:
- 0: なし
- 1: 生々しい夢をみる
- 2: 幻覚があるが、それが現実ではないことを理解している
- 3: 時々または頻繁に幻覚や妄想があり、現実と混同し、日常生活に支障をきたすことがある
- 4: 持続的な幻覚や妄想があり、精神的に不安定で、自立した生活が難しい
3. 抑うつ(Depression)
質問: 抑うつ感がありますか? 評価:
- 0: なし
- 1: 時々通常以上の悲しみや罪悪感に悩まされるが、短期間で収まる
- 2: 1週間以上持続する抑うつ状態がある
- 3: 不眠、食欲不振、体重減少、興味の消失を伴う持続的な抑うつ状態がある
- 4: 上記の症状に加え、自殺念慮や自殺企図がある
4. 意欲・自発性(Motivation/Initiative)
質問: 日常の活動に対する意欲や自発性に問題がありますか? 評価:
- 0: 正常
- 1: 通常より受動的で消極的な態度が見られる
- 2: ルーチンでない活動への意欲や興味が減少している
- 3: 日常の基本的な活動への意欲や興味が著しく減少している
- 4: 完全に引きこもり、意欲や自発性がほとんどない
評価の詳細
各質問に対する評価は、0から4の5段階で行われ、数値が高いほど症状が重いことを示します。各項目の合計点数は0から16点までとなり、全体のスコアが高いほど精神機能、行動および気分に関する問題が重いことを示します。
これらの評価項目と詳細は、パーキンソン病患者の精神機能、行動および気分の側面を評価し、治療計画の作成や進行状況の評価に役立てるために使用されます。
UPDRS II. 日常生活活動(基本は「オン」時の評価)
パートII:日常生活動作(合計点52点)
1. 会話(Speech)
質問: 言語に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: 軽度の障害があるが、理解には問題ない
- 2: 中等度の障害があり、時々話を繰り返す必要がある
- 3: 高度の障害があり、頻繁に話を繰り返す必要がある
- 4: ほとんど聞き取り不可能
2. 流涎(Salivation)
質問: よだれが多いですか?
- 0: 正常
- 1: 軽度に唾液が増加。夜間に流涎が見られることがある
- 2: 中等度に唾液が増加し、わずかに流涎がある
- 3: 高度に唾液が増加し、時々流涎がある
- 4: 唾液が非常に多く、常にティッシュやハンカチが必要
3. 嚥下(Swallowing)
質問: 嚥下に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: まれにむせることがある
- 2: 時々むせることがある
- 3: 柔らかい食事でないとむせる
- 4: 経管栄養が必要
4. 書字(Handwriting)
質問: 筆跡に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: わずかに遅いか、字が小さい
- 2: 中等度に遅いか、字が小さくなるが全ての文字が読める
- 3: 高度の障害があり、一部の文字が読めない
- 4: ほとんどの文字が読めない
5. 食事、食器の扱い(Eating, Cutting Food and Handling Utensils)
質問: 食事や道具の取り扱いに問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: やや遅いかぎこちないが、補助は不要
- 2: 遅くぎこちないが、ほとんどの食事は自分でできる。時々補助が必要
- 3: 食事の準備が必要だが、食べることはできる
- 4: 補助がなければ食べられない
6. 着衣(Dressing)
質問: 着衣に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: やや遅いが、補助は不要
- 2: ボタンを留める、袖を通すなどに補助が必要
- 3: 自分でできることもあるが、かなり補助が必要
- 4: 自力での着替えが不可能
7. 衛生(入浴・トイレ)(Hygiene)
質問: 入浴やトイレに問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: やや遅いが、補助は不要
- 2: 入浴やシャワーに補助が必要。動作は非常に遅い
- 3: 洗顔、歯磨き、整髪などの日常動作に補助が必要
- 4: カテーテルなどの補助器具が必要
8. 寝返りおよび布団を直す(Turning in Bed and Adjusting Bedclothes)
質問: 寝返りや布団の調整に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: やや遅いが、補助は不要
- 2: 一人で寝返りや布団の調整ができるが、非常に困難
- 3: 寝返りや布団の調整が自力ではできない
- 4: 完全に補助が必要
9. 転倒(Falling)(すくみ現象とは関係なし)
質問: 転倒しますか?
- 0: なし
- 1: まれに転倒する
- 2: 時々転倒するが、一日に一回以内
- 3: 平均して一日一回転倒する
- 4: 一日に一回以上転倒する
10. 歩行中のすくみ(Freezing When Walking)
質問: 歩行中にすくみ現象がありますか?
- 0: なし
- 1: 歩行中にまれにすくみ。歩き始めにすくむことがある
- 2: 時々、歩行中にすくむ
- 3: 頻繁にすくみ、時に転倒する
- 4: 頻繁にすくみ、転倒する
11. 歩行(Walking)
質問: 歩行に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: 軽度の障害。腕の振りがなかったり、足を引きずることがある
- 2: 中等度の障害。しかし補助はほとんど不要
- 3: 高度の障害。補助が必要
- 4: 補助があっても歩行不可能
12. 振戦(Tremor)
質問: 振戦(震え)がありますか?
- 0: なし
- 1: 軽度。まれにある
- 2: 中等度。患者にとっては気になる
- 3: 高度。多くの日常生活動作に影響を与える
- 4: 著明。ほとんどの日常生活動作に支障がある
13. パーキンソニズムに関連した感覚障害(Sensory Complaints Related to Parkinsonism)
質問: パーキンソン病に関連した感覚障害がありますか?
- 0: なし
- 1: 時々しびれ、ちくちく、または軽度の痛みを感じる
- 2: 頻繁にしびれ、ちくちく、または痛みを感じるが、耐えられる
- 3: 頻繁に痛みを感じる
- 4: 耐え難い痛みが常にある
評価の詳細
各質問に対する評価は、0から4の5段階で行われ、数値が高いほど症状が重いことを示します。各項目の合計点数は0から52点までとなり、全体のスコアが高いほど日常生活における運動機能の問題が重いことを示します。
これらの評価項目と詳細は、パーキンソン病患者の日常生活における運動機能の側面を評価し、治療計画の作成や進行状況の評価に役立てるために使用されます。
UPDRS III. 運動検査
パートIII:運動機能(オン時に検査する)(合計点56点)
1. 言語(Speech)
質問: 言語に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: 表現、用語、声量に軽度の障害がある
- 2: 中等度の障害。単調で不明瞭だが理解できる
- 3: 高度の障害。理解が困難
- 4: 理解不能
2. 顔の表情(Facial Expression)
質問: 顔の表情に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: わずかに表情が乏しい。ポーカーフェイス
- 2: 軽度だが明らかな表情の乏しさ
- 3: 中等度の表情の乏しさ。口を閉じていない時がある
- 4: 仮面様で、ほとんど表情がない。口は0.6cm以上開いている
3. 安静時振戦(Rest Tremor)(顔面、左手、右手、左足、右足)
質問: 安静時に振戦がありますか?
- 0: なし
- 1: わずかの振戦が、時にみられる程度
- 2: 軽度の振幅の振戦が持続的に出現。または中等度の振幅の振戦が時々出現する
- 3: 中等度の振戦が大部分の時間に出現
- 4: 高度の振戦が大部分の時間に出現
4. 手の動作時振戦または姿勢時振戦(Action or Postural Tremor of Hands)
質問: 手の動作時または姿勢保持時に振戦がありますか?
- 0: なし
- 1: 軽度。動作に伴って起こる
- 2: 中等度の振幅。動作に伴って起こる
- 3: 中等度の振幅。動作時、姿勢保持時に起こる
- 4: 高度の振幅。食事の動作が障害される
5. (筋)固縮(Rigidity)(頸部、左上肢、右上肢、左下肢、右下肢)
質問: 筋肉の強剛がありますか?(患者は座位で安静にしている。主要な関節で判断する。歯車現象は関知しない)
- 0: なし
- 1: 軽微またはミラームーブメントや他の運動で誘発できる程度
- 2: 軽度ないし中等度の(筋)強剛
- 3: 高度の(筋)強剛。しかし関節可動域は正常
- 4: 著明な(筋)強剛。関節可動域に制限あり
6. 指タップ(Finger Tapping)(左手、右手)
質問: 親指と示指をできる限り大きな振幅で素早くタップできますか?(左右別々に)
- 0: 正常
- 1: やや遅いか、振幅が小さい
- 2: 中等度の障害。疲れやすい。時々動きが止まることがある
- 3: 高度の障害。動作開始時にしばしばすくむ。または動作中に止まる
- 4: ほとんどできない
7. 手の運動(Hand Movements)(左手、右手)
質問: できるだけ大きく、素早く手の開閉をくり返せますか?(左右は別々に)
- 0: 正常
- 1: 少し遅いか、振幅が小さい
- 2: 中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まることがある
- 3: 高度の障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる
- 4: ほとんどできない
8. 手の回内・回外運動(Pronation-Supination Movements of Hands)(左手、右手)
質問: 手を垂直や水平の位置で、できるだけ大きく回内・回外運動できますか?(両手を同時に)
- 0: 正常
- 1: やや遅いか、振幅が小さい
- 2: 中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まる
- 3: 高度の障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる
- 4: ほとんどできない
9. 下肢の敏捷性(Leg Agility)(左下肢、右下肢)
質問: 下肢をあげてかかとで床をタップできますか?(かかとは7.5cm 以上あげる)
- 0: 正常
- 1: やや遅いか、振幅が小さい
- 2: 中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まる
- 3: 高度の障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる
- 4: ほとんどできない
10. イスからの立ち上がり(Arising from Chair)
質問: 背もたれ付きのイスから腕を組んだまま立ち上がれますか?
- 0: 正常
- 1: 遅い。または一度ではうまくいかないことがある
- 2: 立ち上がるのに肘掛けに腕をつく必要がある
- 3: 一度ではうまくいかず、イスにふたたび倒れ込むことがある。しかし、介助なしで立ち上がれる
- 4: 介助なしでは立ち上がれない
11. 姿勢(Posture)
質問: 姿勢に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: 軽度の前屈姿勢。高齢者では正常な程度
- 2: 中等度の前屈姿勢。明らかに異常。一側にやや傾くこともある
- 3: 高度の前屈姿勢、脊柱後彎(亀背)を伴う。一側に中等度に傾くこともある
- 4: 高度の前屈姿勢。極端に異常な前屈姿勢
12. 歩行(Gait)
質問: 歩行に問題がありますか?
- 0: 正常
- 1: 歩行は緩慢。歩行は小刻みでひきずることもある。加速歩行や前方突進はない
- 2: 歩行は困難を伴うが、介助は必要ない。加速歩行や前方突進あり
- 3: 高度の障害。介助を必要とする
- 4: 介助があっても歩行不能
13. 姿勢の安定性(Postural Stability)(後方突進現象)
質問: 姿勢の安定性に問題がありますか?(後方突進現象)
- 0: 正常
- 1: 後方突進現象があるが自分で立ち直れる
- 2: 後方突進現象。支えなければ倒れてしまう
- 3: きわめて不安定。自然にバランスを失う
- 4: 介助なしでは立てない
14. 運動緩慢、運動減少(Bradykinesia and Hypokinesia)
質問: 運動の緩慢さや減少がありますか?(運動緩慢、躊躇、腕振りの減少、運動の振幅の減少と運動量の減少を総合的に評価)
- 0: なし
- 1: わずかに緩慢。ゆっくりとした動作。人によっては正常のこともある。運動の振幅がやや小さいこともある
- 2: 軽度の運動緩慢。運動量が明らかに低下している。運動の大きさがやや低下
- 3: 中等度の運動緩慢。中等度に運動量が低下、または運動の大きさが低下
- 4: 高度の運動緩慢。高度に運動量が低下。または運動の大きさが低下
評価の詳細
各質問に対する評価は、0から4の5段階で行われ、数値が高いほど症状が重いことを示します。各項目の合計点数は0から108点までとなり、全体のスコアが高いほど運動機能の問題が重いことを示します。
これらの評価項目と詳細は、パーキンソン病患者の運動機能を評価し、治療計画の作成や進行状況の評価に役立てるために使用されます。
評価表
パートI:精神機能、行動および気分(合計点16点)
項目 | 質問 | 評価 | スコア (0-4) |
---|---|---|---|
1. 知的機能の障害 | 知的機能に障害がありますか? | 0: なし, 1: 軽度。記憶に問題があるが、部分的に思い出せる。他の認知機能には影響なし, 2: 中等度の記憶障害と見当識障害があり、複雑な問題に対する処理能力が低下している。家庭内でも軽度ながら明らかな障害があり、ときに介助を必要とする, 3: 重度の記憶障害。時間と場所の認識に大きな問題がある。問題解決能力に重大な障害がある, 4: 非常に重度の記憶障害。人に対する認識のみが保たれている。判断や問題解決が不可能で、日常生活に大きな介助が必要である | |
2. 思考の障害 | 幻覚や錯乱がありますか?(認知症または薬物の副作用による) | 0: なし, 1: 生々しい夢をみる, 2: 幻覚があるが、それが現実ではないことを理解している, 3: 時々または頻繁に幻覚や妄想があり、現実と混同し、日常生活に支障をきたすことがある, 4: 持続的な幻覚や妄想があり、精神的に不安定で、自立した生活が難しい | |
3. 抑うつ | 抑うつ感がありますか? | 0: なし, 1: 時々通常以上の悲しみや罪悪感に悩まされるが、短期間で収まる, 2: 1週間以上持続する抑うつ状態がある, 3: 不眠、食欲不振、体重減少、興味の消失を伴う持続的な抑うつ状態がある, 4: 上記の症状に加え、自殺念慮や自殺企図がある | |
4. 意欲・自発性 | 日常の活動に対する意欲や自発性に問題がありますか? | 0: 正常, 1: 通常より受動的で消極的な態度が見られる, 2: ルーチンでない活動への意欲や興味が減少している, 3: 日常の基本的な活動への意欲や興味が著しく減少している, 4: 完全に引きこもり、意欲や自発性がほとんどない |
パートII:日常生活動作(オン・オフ時に分けて評価)(合計点52点)
項目 | 質問 | 評価 | スコア (0-4) |
---|---|---|---|
1. 会話 | 言語に問題がありますか? | 0: 正常, 1: 軽度の障害があるが、理解には問題ない, 2: 中等度の障害があり、時々話を繰り返す必要がある, 3: 高度の障害があり、頻繁に話を繰り返す必要がある, 4: ほとんど聞き取り不可能 | |
2. 流涎 | よだれが多いですか? | 0: 正常, 1: 軽度に唾液が増加。夜間に流涎が見られることがある, 2: 中等度に唾液が増加し、わずかに流涎がある, 3: 高度に唾液が増加し、時々流涎がある, 4: 唾液が非常に多く、常にティッシュやハンカチが必要 | |
3. 嚥下 | 嚥下に問題がありますか? | 0: 正常, 1: まれにむせることがある, 2: 時々むせることがある, 3: 柔らかい食事でないとむせる, 4: 経管栄養が必要 | |
4. 書字 | 筆跡に問題がありますか? | 0: 正常, 1: わずかに遅いか、字が小さい, 2: 中等度に遅いか、字が小さくなるが全ての文字が読める, 3: 高度の障害があり、一部の文字が読めない, 4: ほとんどの文字が読めない | |
5. 食事、食器の扱い | 食事や道具の取り扱いに問題がありますか? | 0: 正常, 1: やや遅いかぎこちないが、補助は不要, 2: 遅くぎこちないが、ほとんどの食事は自分でできる。時々補助が必要, 3: 食事の準備が必要だが、食べることはできる, 4: 補助がなければ食べられない | |
6. 着衣 | 着衣に問題がありますか? | 0: 正常, 1: やや遅いが、補助は不要, 2: ボタンを留める、袖を通すなどに補助が必要, 3: 自分でできることもあるが、かなり補助が必要, 4: 自力での着替えが不可能 | |
7. 衛生(入浴・トイレ) | 入浴やトイレに問題がありますか? | 0: 正常, 1: やや遅いが、補助は不要, 2: 入浴やシャワーに補助が必要。動作は非常に遅い, 3: 洗顔、歯磨き、整髪などの日常動作に補助が必要, 4: カテーテルなどの補助器具が必要 | |
8. 寝返りおよび布団を直す | 寝返りや布団の調整に問題がありますか? | 0: 正常, 1: やや遅いが、補助は不要, 2: 一人で寝返りや布団の調整ができるが、非常に困難, 3: 寝返りや布団の調整が自力ではできない, 4: 完全に補助が必要 | |
9. 転倒(すくみ現象とは関係なし) | 転倒しますか? | 0: なし, 1: まれに転倒する, 2: 時々転倒するが、一日に一回以内, 3: 平均して一日一回転倒する, 4: 一日に一回以上転倒する | |
10. 歩行中のすくみ | 歩行中にすくみ現象がありますか? | 0: なし, 1: 歩行中にまれにすくみ。歩き始めにすくむことがある, 2: 時々、歩行中にすくむ, 3: 頻繁にすくみ、時に転倒する, 4: 頻繁にすくみ、転倒する | |
11. 歩行 | 歩行に問題がありますか? | 0: 正常, 1: 軽度の障害。腕の振りがなかったり、足を引きずることがある, 2: 中等度の障害。しかし補助はほとんど不要, 3: 高度の障害。補助が必要, 4: 補助があっても歩行不可能 | |
12. 振戦 | 振戦(震え)がありますか? | 0: なし, 1: 軽度。まれにある, 2: 中等度。患者にとっては気になる, 3: 高度。多くの日常生活動作に影響を与える, 4: 著明。ほとんどの日常生活動作に支障がある | |
13. パーキンソニズムに関連した感覚障害 | パーキンソン病に関連した感覚障害がありますか? | 0: なし, 1: 時々しびれ、ちくちく、または軽度の痛みを感じる, 2: 頻繁にしびれ、ちくちく、または痛みを感じるが、耐えられる, 3: 頻繁に痛みを感じる, 4: 耐え難い痛みが常にある |
パートIII:運動機能(オン時に検査する)(合計点56点)
項目 | 質問 | 評価 | スコア (0-4) |
---|---|---|---|
1. 言語 | 言語に問題がありますか? | 0: 正常, 1: 表現、用語、声量に軽度の障害がある, 2: 中等度の障害。単調で不明瞭だが理解できる, 3: 高度の障害。理解が困難, 4: 理解不能 | |
2. 顔の表情 | 顔の表情に問題がありますか? | 0: 正常, 1: わずかに表情が乏しい。ポーカーフェイス, 2: 軽度だが明らかな表情の乏しさ, 3: 中等度の表情の乏しさ。口を閉じていない時がある, 4: 仮面様で、ほとんど表情がない。口は0.6cm以上開いている | |
3. 安静時振戦 | 安静時に振戦がありますか? | 0: なし, 1: わずかの振戦が、時にみられる程度, 2: 軽度の振幅の振戦が持続的に出現。または中等度の振幅の振戦が時々出現する, 3: 中等度の振戦が大部分の時間に出現, 4: 高度の振戦が大部分の時間に出現 | |
4. 手の動作時振戦または姿勢時振戦 | 手の動作時または姿勢保持時に振戦がありますか? | 0: なし, 1: 軽度。動作に伴って起こる, 2: 中等度の振幅。動作に伴って起こる, 3: 中等度の振幅。動作時、姿勢保持時に起こる, 4: 高度の振幅。食事の動作が障害される | |
5. (筋)強剛 | 筋肉の強剛がありますか? | 0: なし, 1: 軽微またはミラームーブメントや他の運動で誘発できる程度, 2: 軽度ないし中等度の(筋)強剛, 3: 高度の(筋)強剛。しかし関節可動域は正常, 4: 著明な(筋)強剛。関節可動域に制限あり | |
6. 指タップ | 親指と示指をできる限り大きな振幅で素早くタップできますか? | 0: 正常, 1: やや遅いか、振幅が小さい, 2: 中等度の障害。疲れやすい。時々動きが止まることがある, 3: 高度の障害。動作開始時にしばしばすくむ。または動作中に止まる, 4: ほとんどできない | |
7. 手の運動 | できるだけ大きく、素早く手の開閉をくり返せますか? | 0: 正常, 1: 少し遅いか、振幅が小さい, 2: 中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まることがある, 3: 高度の障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる, 4: ほとんどできない | |
8. 手の回内・回外運動 | 手を垂直や水平の位置で、できるだけ大きく回内・回外運動できますか? | 0: 正常, 1: やや遅いか、振幅が小さい, 2: 中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まる, 3: 高度の障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる, 4: ほとんどできない | |
9. 下肢の敏捷性 | 下肢をあげてかかとで床をタップできますか? | 0: 正常, 1: やや遅いか、振幅が小さい, 2: 中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まる, 3: 高度の障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる, 4: ほとんどできない | |
10. イスからの立ち上がり | 背もたれ付きのイスから腕を組んだまま立ち上がれますか? | 0: 正常, 1: 遅い。または一度ではうまくいかないことがある, 2: 立ち上がるのに肘掛けに腕をつく必要がある, 3: 一度ではうまくいかず、イスにふたたび倒れ込むことがある。しかし、介助なしで立ち上がれる, 4: 介助なしでは立ち上がれない | |
11. 姿勢 | 姿勢に問題がありますか? | 0: 正常, 1: 軽度の前屈姿勢。高齢者では正常な程度, 2: 中等度の前屈姿勢。明らかに異常。一側にやや傾くこともある, 3: 高度の前屈姿勢、脊柱後彎(亀背)を伴う。一側に中等度に傾くこともある, 4: 高度の前屈姿勢。極端に異常な前屈姿勢 | |
12. 歩行 | 歩行に問題がありますか? | 0: 正常, 1: 歩行は緩慢。歩行は小刻みでひきずることもある。加速歩行や前方突進はない, 2: 歩行は困難を伴うが、介助は必要ない。加速歩行や前方突進あり, 3: 高度の障害。介助を必要とする, 4: 介助があっても歩行不能 | |
13. 姿勢の安定性 | 姿勢の安定性に問題がありますか?(後方突進現象) | 0: 正常, 1: 後方突進現象があるが自分で立ち直れる, 2: 後方突進現象。支えなければ倒れてしまう, 3: きわめて不安定。自然にバランスを失う, 4: 介助なしでは立てない | |
14. 運動緩慢、運動減少 | 運動の緩慢さや減少がありますか? | 0: なし, 1: わずかに緩慢。ゆっくりとした動作。人によっては正常のこともある。運動の振幅がやや小さいこともある, 2: 軽度の運動緩慢。運動量が明らかに低下している。運動の大きさがやや低下, 3: 中等度の運動緩慢。中等度に運動量が低下、または運動の大きさが低下, 4: 高度の運動緩慢。高度に運動量が低下。または運動の大きさが低下 |
時間がないので、簡単に実施できるSTROKE LABオリジナルの運動評価はありますか?
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)