【2023年版】脳卒中 片麻痺後のストレッチウィークネスの原因と対策は?
ストレッチウィークネスの原因は?
片麻痺患者におけるストレッチウィークネスは、いくつかの要因によって生じます。以下に原因を述べます。
筋の不均衡:片麻痺では、麻痺側の筋力が低下する一方で、非麻痺側の筋力は正常に機能し続けます。このアンバランスにより、麻痺側の弱った筋肉が過剰に伸ばされることがあります。
長時間の体位固定姿勢: 片麻痺の方は可動性が制限されているため、特定の筋肉が引き伸ばされた状態に長時間置かれることがあります。例えば、筋肉が伸展するような体位で腕が固定されると、ストレッチウィークネスが生じます。
痙縮: 痙縮した筋肉は関節を異常な位置に引っ張り、反対側の筋肉を過緊張させます。時間の経過とともに、過緊張した筋がストレッチウィークネスすることがあります。
運動制御の欠如: 麻痺側の筋を自発的に収縮させることができないため、筋は通常の動作で起こる収縮を伴わず、伸びた状態のままとなります。この規則的な筋肉の活性化の欠如が、ストレッチウィークネスの一因となる可能性があります。
不適切な介助と移動: 利用者の身体的ニーズを十分に理解していない介護者や医療スタッフが、筋を慢性的に過緊張させるような方法で利用者を扱うことがあります。
弛緩:片麻痺により、痙縮ではなく、麻痺側が弛緩(筋肉の緊張の欠如)する場合があります。この緊張の欠如により、筋肉が過度のストレッチ姿位に留まることがあります。
装具や補助器具の不適合: 装具、スプリント、その他の補助器具が適切に装着されていない場合、特定の筋の慢性的なストレッチウィークネスを引き起こすような姿勢を手足に強いる可能性があります。
片麻痺患者のストレッチウィークネスを予防または緩和する治療には、適切な体位変換、理学療法、適切な補助器具の使用、痙縮や弛緩の慎重な管理などを組み合わせる必要があります。このような複雑なニーズに対応するためには、理学療法士や作業療法士などのリハビリテーション専門家との共同ケアが不可欠です。
臨床への考え方は?
片麻痺におけるストレッチウィークネスは、神経筋機能障害と力学的要因の複雑な相互作用として理解することができます。
評価 片麻痺患者におけるストレッチウィークネスの具体的な原因を特定するためには、適切な評価が不可欠です。これには、筋緊張、関節可動性、痙縮、補助器具の使用などの精密検査が含まれます。
介入: 治療には、アセスメントで特定された根本的な原因を対象とした多面的なアプローチが必要になるでしょう。これには、筋のアンバランスを修正する理学療法、痙縮の管理、適切なポジショニング、補助器具の適切な使用などが含まれます。
教育と協力: 適切なハンドリングとポジショニングについて、介護者と医療スタッフの双方を教育することで、ストレッチウィークネスの発生を防ぐことができます。リハビリテーションの専門家が協力することで、患者さん独自のニーズに合わせた包括的なアプローチが可能になります。
予防: 片麻痺患者における伸張性筋力低下のメカニズムを理解することは、予防戦略の指針となります。これには、定期的なモニタリング、治療的介入の適時導入、補助器具の慎重な選択と装着などが含まれます。
結論として、片麻痺患者におけるストレッチウィークネスの認識と管理には、病態の微妙な理解とケアへの協調的アプローチが必要です。治療と予防の戦略は、この病態を引き起こす複雑な要因の相互作用を考慮しながら、個々に対応する必要があります。
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)