【質問】統合失調症の方はコーラなどのカフェイン飲料を飲みたがります。なぜ?精神科 リハビリ
なぜコーラばかり好むの?
これらは一般的な考慮事項であり、統合失調症を持つすべての人に当てはまるわけではないことに注意することが重要です。 さらに、適度なカフェイン摂取は通常の食事の一部である可能性がありますが、過剰摂取は特定の精神症状の悪化などの悪影響を及ぼす可能性があります。 したがって、食習慣と好みは、個人の全体的な健康と治療計画というより広い文脈で考慮される必要があります。
神経メカニズムは?
神経科学の観点から見たコーラの摂取と覚醒を結び付ける経路には、主にコーラに含まれる重要な興奮剤であるカフェインが関係しています。 カフェインは、脳内のアデノシン受容体をブロックすることによって作用します。
アデノシンは、睡眠とリラクゼーションを促進する神経伝達物質です。 その受容体がブロックされると、逆の効果が起こり、覚醒と注意力の増加につながります。 さらに、カフェインはドーパミンやノルエピネフリンなどの神経伝達物質の放出を間接的に刺激し、注意力の高まり、気分の改善、エネルギーレベルの増加に寄与します。 アデノシン阻害と神経伝達物質放出のこの組み合わせが、コーラを飲むことに伴う刺激効果をもたらします。
一次的に覚醒は高まりますが、そのあと疲労や眠気がきます。なぜでしょうか?
カフェインによって一時的に注意力が高まった後の疲労感や眠気は、その物質の効果が薄れることに対する体の反応によるものです。 カフェインがアデノシン受容体をブロックすると、アデノシンが脳に与える通常の鎮静効果が一時的に妨げられます。
しかし、カフェインが代謝されると、アデノシン受容体が再び活性化します。 アデノシンはカフェインが活動している間に蓄積されるため、カフェインがなくなるとその作用が急激に増加します。
これはリバウンド効果につながり、以前に抑制されていた疲労感や眠気の感情が急速に、多くの場合より強く再発します。 さらに、体の自然な概日リズムと恒常性のある睡眠意欲もこの効果に寄与します。
関連論文は?
“Clozapine makes me quite drowsy, so when I wake up in the morning those first cups of coffee are really handy”: an exploratory qualitative study of excessive caffeine consumption among individuals with schizophrenia
カフェイン摂取と統合失調症の関係はさまざまな研究で調査され、興味深い洞察が明らかになりました。 ある研究では、統合失調症患者の過剰なカフェイン摂取に関する探索的定性分析が実施されました。
この研究には、統合失調症または統合失調感情障害を患う参加者への詳細なインタビューが含まれていました。 この研究は、コカ・コーラなどのカフェイン入り飲料の使用を含むカフェイン摂取のパターンと、これらの人々の生活に対するカフェインの影響を理解することを目的としていました。
この研究では、多くの参加者にとって、カフェイン摂取は日常生活の不可欠な部分であり、多くの場合朝から始まり、一日中続いていることがわかりました。 カフェイン使用の理由は参加者によって異なり、カフェインを些細な問題とみなす人もいれば、中毒や依存に近い可能性のある生活の重要な側面であると認識する人もいました。
Caffeine consumption in a long-term psychiatric hospital: Tobacco smoking may explain in large part the apparent association between schizophrenia and caffeine use
この研究では、統合失調症の入院患者におけるカフェインの使用頻度は、非統合失調症の入院患者や対照に比べて有意に高くないことが判明しました。 ただし、統合失調症の外来患者よりも有意に高かったです。
興味深いことに、この研究では、すべてのサンプルにおいて喫煙とカフェイン使用との強い関連性も強調されており、統合失調症とカフェイン使用との明らかな関連性は、主に喫煙の交絡効果によって説明できる可能性があることが示唆されています。
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)