【質問】理学療法士のキャリアデザインについて悩んでます。プロの意見を教えてください!
質問
私は現在、理学療法士として働いており、日々臨床経験を積んでおります。しかし、将来のキャリアについていくつか悩みを抱えております。
1. 専門性の深め方について
現在、私は整形外科リハビリに従事しておりますが、神経リハビリやスポーツリハビリにも興味があります。どの分野に特化すべきか、またそのための具体的なステップや資格取得のタイミングについてアドバイスをいただけると幸いです。
2. 学会発表や論文執筆
35歳前後までに実績を作るためには、学会発表や論文執筆が重要だと考えています。しかし、どのようなテーマで取り組むべきか、また実際の執筆プロセスや発表準備について不安があります。ご自身の経験を踏まえたアドバイスをいただければ幸いです。
3. ワークライフバランス
忙しい臨床現場での勤務において、自己管理とワークライフバランスをどのように確保するかが課題です。特に、ストレスマネジメントや適度な休息の取り方について具体的なアドバイスをいただきたいです。
4. セカンドキャリアの展望
将来的に定年を迎える際のセカンドキャリアについても考え始めています。独立開業やコンサルタント業務、地域社会への貢献など、多岐にわたる選択肢がありますが、どのような準備や経験が必要かについてもご意見を伺いたいです。
以上、私の現状と悩みについてご説明させていただきました。お忙しいところ恐れ入りますが、ご都合の良い時にお話をお聞かせいただけると幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
理学療法士としてのキャリアデザイン
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卒業(22歳前後)
- 理学療法士養成校や大学を卒業し、国家試験に合格することで理学療法士としての第一歩を踏み出します。この時点では、基本的な知識と技術を習得しており、臨床現場での経験を積むことが重要です。
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職を固める(28歳前後)
- 病院、クリニック、リハビリテーション施設などで働き始め、臨床経験を積み重ねる時期です。患者とのコミュニケーション能力や、多様なケースへの対応力を養います。また、特定の分野(整形外科、神経リハビリ、スポーツリハビリなど)に興味を持ち、専門性を深めることも視野に入れます。
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実績を作る(35歳前後)
- ある程度の経験を積んだこの時期には、治療効果を上げるための独自のアプローチや手法を開発することが期待されます。また、後輩の指導や教育にも携わり、チームリーダーとしての役割を果たすことも増えてきます。学会発表や論文執筆を通じて、自身の実績を広く知らせることも重要です。
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実績の回収(45歳前後)
- この時期には、理学療法士としてのキャリアの集大成を迎えます。管理職や部門責任者として、施設全体の運営や新たな治療法の導入を推進する役割を担うことが多くなります。また、自身の専門性を生かし、大学での講義や研修会の講師として活動する機会も増えるでしょう。
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セカンドキャリア(60歳前後)
- 定年を見据えた時期であり、新たなキャリアの可能性を探ることが重要です。独立開業やコンサルタント業務、リハビリ関連の執筆活動や講演活動など、これまでの経験を活かした多様な活動が考えられます。また、ボランティア活動や地域社会への貢献を通じて、社会的な役割を果たすことも視野に入れます。
アドバイス
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継続的な学びと資格取得
- 理学療法の分野は日々進化しており、最新の知識や技術を習得するために継続的な学びが欠かせません。専門資格の取得や研修会への参加を通じて、自身のスキルをアップデートしましょう。
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ネットワーキングと情報共有
- 他の医療専門職や同僚とのネットワーキングを強化し、情報交換や共同研究を行うことで、より質の高いリハビリテーションを提供することができます。また、患者さんやその家族とのコミュニケーションも大切にし、信頼関係を築きましょう。
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ワークライフバランスの確保
- 忙しい臨床現場での勤務においても、自己管理とワークライフバランスを意識することが重要です。ストレスマネジメントや適度な休息を心がけ、長く健康に働ける環境を整えましょう。
理学療法士としてのキャリアは、他の医療専門職と同様に多岐にわたります。個々の興味や適性に応じたキャリアパスを描き、充実した職業生活を送ることを目指してください。
理学療法士Aさんへのインタビュー
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、理学療法士としてのキャリアの始まりについてお聞かせください。
Aさん: ありがとうございます。私が理学療法士としてのキャリアをスタートさせたのは、専門学校を卒業し国家試験に合格した21歳の頃です。当時は、整形外科リハビリテーションに特に興味があり、整形外科専門のクリニックで働き始めました。最初の数年間は、臨床現場での経験を積むことに集中しました。
職を固める時期には、どのような経験をされたのですか?
Aさん: 28歳前後の時期は、膝や腰の痛みを抱える患者さんの治療に多く携わりました。この時期に整形外科リハビリテーションの専門性を深めることができました。また、クリニック内でのスタッフ教育や新しいリハビリテーション技術の導入にも積極的に取り組みました。特に、新しい治療技術を学び、それを患者さんに実際に提供することで、大きなやりがいを感じました。
実績を作る時期には、具体的にどのような活動をされましたか?
Aさん: 35歳前後の頃には、整形外科リハビリテーションにおける新しい治療法の研究に着手しました。学会発表や論文執筆を行い、自身の研究成果を広く発信することを心がけました。また、後輩の指導にも熱心に取り組み、クリニック内でのチームリーダーとして活躍しました。これにより、自身の知識や経験を後輩に伝えることができ、クリニック全体のレベルアップにも寄与できたと思います。
忙しい臨床現場での勤務において、ワークライフバランスをどのように確保してきましたか?
Aさん: ワークライフバランスの確保は、私にとっても大きな課題でした。特に、患者さんへの対応やクリニック内の業務が重なると、どうしても仕事に多くの時間を割いてしまいがちです。最初の頃は、自己管理がうまくできず、ストレスを感じることも多々ありました。
具体的にはどのような悩みを抱えていましたか?
Aさん: 主にストレスマネジメントと適度な休息の取り方に悩んでいました。仕事に追われる中で、どうしても自分の時間を持つことが難しく、疲れが溜まってしまうことがよくありました。また、休日も仕事のことが頭から離れず、リラックスできないことも多かったです。
そのような悩みをどのように解決しましたか?
Aさん: いくつかの方法を試しました。まず、スケジュール管理を徹底しました。毎日の業務を優先順位に基づいて整理し、重要なタスクから取り組むようにしました。また、定期的な休憩時間を確保し、短い時間でもリフレッシュするよう心がけました。
ストレスマネジメントについては、リラクゼーションのためのアクティビティを取り入れました。例えば、ヨガや瞑想を日常生活に取り入れることで、心身のリフレッシュを図りました。また、趣味の時間を大切にし、仕事以外の楽しみを見つけることで、気持ちの切り替えを意識的に行いました。
具体的な休息の取り方についても教えてください。
Aさん: 休息の取り方については、週末や休暇を有効に使うことを心がけました。例えば、家族や友人との時間を大切にし、リラックスできる環境で過ごすようにしました。また、旅行やアウトドア活動など、自然の中で過ごす時間を増やすことで、リフレッシュ効果を感じることができました。さらに、職場でのコミュニケーションも重視しました。チームメンバーと定期的に話し合い、業務の負担を分担することで、個々の負担を軽減しました。これにより、お互いにサポートし合いながら働くことができ、より良い職場環境を作ることができました。
実績の回収の時期には、どのような役割を担われましたか?
Aさん: 45歳前後の頃には、クリニックの部門責任者に昇進しました。このポジションでは、管理業務や新たな治療法の導入を推進する役割を担いました。また、大学で非常勤講師として講義を行い、次世代の理学療法士の育成にも力を入れました。講義を通じて、私自身も学びを深めることができましたし、学生たちからも多くの刺激を受けました。
セカンドキャリアについてもお聞かせください。
Aさん: 60歳前後に定年を迎えた後、独立起業をしたいと思っています。自身の自費リハビリを起業し、これまでの経験を活かしたリハビリテーションプログラムを提供したいです。。また、リハビリテーション関連の執筆活動や講演活動も行い、地域社会への貢献を続けていきたいです。これらの活動を通じて、理学療法士としての経験をさらに広げ、多くの人々に還元できることをやりたいです。
Aさん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
Aさん: こちらこそ、ありがとうございました。理学療法士としてのキャリアについて、少しでもお役に立てれば幸いです。
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)