作業療法士がP-E-Oモデルを応用してアプリ・自費リハビリ起業するまでのキャリアデザイン!
PEOモデルとは?
PEOモデル(Person-Environment-Occupation Model)を活用して、作業療法士が起業する具体的な例を挙げます。このモデルは、人(Person)、環境(Environment)、作業(Occupation)の相互作用を重視しており、起業においてもこのフレームワークを活用することで効果的な事業計画が立てられます。
図引用:https://peomodel.com/
-
個人(Person)
- 個人の能力、スキル、価値観、目標などを含みます。これには身体的、精神的、感情的な側面も含まれます。
- 個人の特性や状態が作業遂行に与える影響を考慮します。
-
環境(Environment)
- 個人が活動を行う物理的、社会的、文化的な環境を指します。
- 環境は、物理的な場所や資源、人々との関係、社会的サポート、文化的な価値観や規範などを含みます。
-
作業(Occupation)
- 個人が日常生活で行う活動や役割を指します。
- 作業は、自己管理、仕事、レジャー、社会参加など、多様な活動を含みます。
相互作用と作業遂行(Occupational Performance)
-
相互作用:
- 個人、環境、作業の3つの要素は相互に影響し合い、その組み合わせが作業遂行を決定します。
- 各要素のバランスや適応が作業遂行に直接的な影響を与えます。
-
作業遂行:
- 作業遂行は、個人が環境の中で特定の作業を効果的に行う能力を示します。
- PEOモデルでは、これらの要素が最適に調和することで最高の作業遂行が達成されると考えます。
進行中の発展(Ongoing Development)
- モデルの右側に示されている矢印は、「進行中の発展(Ongoing Development)」を表しています。
- これは、個人の成長や環境の変化、作業の進化が絶え間なく続くことを意味し、これらの変化に応じて作業療法も動的に適応し続ける必要があることを示しています。
1. リハビリテーション施設の起業を例に
人(Person)
- 作業療法士の専門知識: 作業療法士としての専門知識や技術を最大限に活用します。例えば、脳卒中後のリハビリや高齢者のADL(Activities of Daily Living)訓練に特化したスキル。
- 個人の目標: 自身のキャリア目標やビジョンを明確にします。例えば、地域社会の高齢者の生活の質を向上させること。
環境(Environment)
- 物理的環境: リハビリテーション施設の場所選定。例えば、高齢者が多く住む地域やアクセスが良い場所に開設する。
- 社会的環境: 地域の医療機関やコミュニティとの連携。例えば、地元の病院や介護施設とのネットワークを構築し、紹介を受ける体制を整える。
作業(Occupation)
- 提供するサービス: リハビリテーションプログラムの設計。例えば、個別のリハビリプログラム、グループセッション、家族教育プログラムなど。
- 日常業務: 患者の評価、治療計画の策定、治療の実施、効果の評価。例えば、最新のリハビリ機器を導入し、科学的根拠に基づいた治療を提供する。
2. デジタルヘルスアプリの開発を例に
人(Person)
- 作業療法士の専門知識: デジタル技術を用いたリハビリテーションの経験や知識。例えば、アプリを通じて自宅でリハビリを行う方法やモチベーション管理のスキル。
- 個人の目標: デジタルヘルス分野で革新的なサービスを提供し、より多くの人々の健康をサポートすること。
環境(Environment)
- 物理的環境: リモートワークが可能な環境。例えば、ホームオフィスやコワーキングスペースを活用する。
- 社会的環境: デジタルヘルスに関する規制や市場の理解。例えば、デジタルヘルスの法規制を確認し、適切なデータ管理とプライバシー保護を確保する。
作業(Occupation)
- 提供するサービス: リハビリテーション支援アプリの開発。例えば、ストロークリハビリのエクササイズガイド、進捗管理、モチベーション維持機能などを備えたアプリ。
- 日常業務: アプリの開発、ユーザーサポート、フィードバックの収集と改善。例えば、ユーザーテストを繰り返し行い、ユーザーフレンドリーなインターフェースを実現する。
3. 作業療法士のための教育・トレーニング会社の設立を例に
人(Person)
- 作業療法士の専門知識: 教育とトレーニングに関する知識や指導経験。例えば、新人教育プログラムや専門スキル向上のためのセミナー。
- 個人の目標: 次世代の作業療法士を育成し、作業療法の質を向上させること。
環境(Environment)
- 物理的環境: 研修施設やオンラインプラットフォームの確保。例えば、ハイブリッド形式での講義を提供できる設備を整える。
- 社会的環境: 教育機関やプロフェッショナルネットワークとの連携。例えば、大学や専門学校との提携、業界団体との協力。
作業(Occupation)
- 提供するサービス: 教育プログラムの設計と提供。例えば、初級から上級までの専門的なトレーニングコースや資格取得支援。
- 日常業務: カリキュラムの開発、講師の育成、トレーニングの実施と評価。例えば、実践的なワークショップやオンライン講座を通じて、最新の知識とスキルを提供する。
これらの具体例を通じて、PEOモデルを適用し、作業療法士が自身の専門知識を活かして起業する際のプロセスと戦略を計画することができます。
作業療法士Aがデジタルヘルスアプリを開発する具体的な起業例
ステップ1: 準備段階
1.1. 自己評価
- 作業療法士Aは自身の専門知識とスキルを評価し、デジタルヘルス分野でどのように活用できるかを検討します。
- 自身のキャリア目標を明確にし、デジタルヘルスアプリ開発に向けた動機を整理します。
1.2. 市場調査
- ヘルスケア市場、特にデジタルリハビリテーションの現状とトレンドを調査します。
- 競合他社の分析を行い、既存アプリの強みと弱みを把握します。
- ターゲットユーザー(例:脳卒中患者、高齢者)のニーズを調査します。
ステップ2: ビジネスプランの策定
2.1. コンセプト設計
- 作業療法士Aはアプリのコンセプトを定義します。例えば、「脳卒中リハビリ支援アプリ」。
- アプリの主な機能をリストアップします。例えば、エクササイズガイド、進捗管理、モチベーション維持機能。
2.2. ビジネスモデルの決定
- アプリの収益モデルを決定します。例えば、サブスクリプションモデル、広告収入、インアプリ購入。
- 初期費用と運営費用を見積もり、必要な資金調達方法を検討します。
ステップ3: プロトタイプの開発
3.1. チーム編成
- 必要なスキルセットを持つチームメンバーを集めます。例えば、ソフトウェア開発者、デザイナー、マーケティング担当。
- 共同創業者や外部の専門家の協力を得ることも検討します。
3.2. プロトタイプ開発
- 初期プロトタイプを開発し、基本的な機能を実装します。
- ユーザビリティテストを行い、ユーザーからのフィードバックを収集します。
ステップ4: 実装とテスト
4.1. アプリの改良
- ユーザーからのフィードバックを基にプロトタイプを改良し、機能を追加・修正します。
- アプリの安定性とパフォーマンスを向上させるためのテストを繰り返し行います。
4.2. 法規制の確認
- デジタルヘルスアプリに関連する法規制やプライバシー保護の要件を確認し、遵守するようにします。
- 必要な認証や許可を取得します。
ステップ5: マーケティングとローンチ
5.1. マーケティング戦略
- ターゲットユーザーにリーチするためのマーケティング戦略を策定します。例えば、SNSキャンペーン、医療機関との提携、展示会への参加。
- ブランディングを確立し、アプリの価値を効果的に伝えるためのメッセージを作成します。
5.2. ローンチ
- アプリを正式にリリースし、利用者からの初期フィードバックを集めます。
- ローンチイベントやメディアを活用して、広く認知されるようにします。
ステップ6: 継続的な改善と拡大
6.1. 継続的な改善
- 利用者からのフィードバックを基に、定期的なアップデートを行い、アプリの品質を維持します。
- 新機能の追加や改善を継続的に行います。
6.2. ビジネスの拡大
- アプリの成功を基に、新しい市場やユーザー層に拡大します。
- 他のデジタルヘルス関連プロジェクトやサービスを開発し、事業の多角化を図ります。
このように、PEOモデルを活用してデジタルヘルスアプリの開発を計画し、実行することで、作業療法士Aは専門知識を活かした効果的な起業が実現できます。
作業療法士Aがリハビリテーション施設を開設する具体的な起業例
作業療法士Aがリハビリテーション施設を開設するプロセスを、PEOモデル(Person-Environment-Occupation Model)を用いて展開します。
ステップ1: 準備段階
1.1. 自己評価(Person)
- 専門知識とスキルの評価: 作業療法士Aは自身の専門知識とスキルを評価し、施設で提供できるサービスの範囲を決定します。
- 個人の目標設定: 自分のキャリア目標やビジョンを明確にします。例えば、「地域社会の高齢者の生活の質を向上させること」を目標とする。
1.2. 市場調査(Environment)
- ニーズ調査: 地域の人口統計、特に高齢者やリハビリを必要とする人々の数を調査します。
- 競合分析: 既存のリハビリテーション施設のサービス内容、強み、弱みを分析します。
- 環境の理解: 施設を開設する場所の物理的環境、アクセス、交通手段、周辺の医療機関や介護施設の存在を確認します。
ステップ2: ビジネスプランの策定
2.1. コンセプト設計(Occupation)
- サービスの定義: 提供するリハビリテーションサービスの種類を決定します。例えば、個別リハビリ、グループセッション、訪問リハビリなど。
- ターゲットユーザーの特定: 主に対象とする顧客層を特定します。例えば、高齢者、脳卒中後の患者、スポーツ障害のリハビリが必要な人々など。
2.2. ビジネスモデルの決定(Occupation)
- 収益モデルの構築: サービスの価格設定、保険適用の範囲、サブスクリプションモデルなど、収益の仕組みを決定します。
- 資金調達の計画: 初期費用と運営費用を見積もり、必要な資金調達方法を検討します。例えば、銀行からのローン、投資家からの資金調達、自己資金など。
ステップ3: 施設の設計と開設準備
3.1. 施設の設計(Environment)
- 物理的環境の整備: リハビリテーション施設の設計とレイアウトを計画します。例えば、運動療法室、作業療法室、カウンセリングルームなど。
- 設備の導入: 必要なリハビリ機器や器具のリストを作成し、購入します。例えば、歩行訓練装置、エルゴメーター、バランスボードなど。
3.2. 法規制の確認と許可取得(Environment)
- 法的手続き: リハビリテーション施設の開設に必要な許可や認証を取得します。例えば、医療機関としての認可、保険適用の認証など。
- プライバシーと安全対策: 患者のプライバシー保護と施設の安全対策を確保します。例えば、個人情報保護方針の策定、施設内の安全対策の実施。
ステップ4: 人材採用とトレーニング
4.1. 人材採用(Person)
- スタッフの採用: 必要なスタッフを採用します。例えば、作業療法士、理学療法士、看護師、受付スタッフなど。
- トレーニングの実施: スタッフに対する初期トレーニングを実施し、サービスの品質を確保します。例えば、リハビリテーション手法の研修、患者対応のトレーニングなど。
ステップ5: マーケティングとローンチ
5.1. マーケティング戦略の策定(Occupation)
- プロモーション計画: 施設の開設を地域に広く知らせるためのマーケティング計画を策定します。例えば、地域の医療機関や介護施設との連携、SNSキャンペーン、チラシの配布など。
- ブランディング: 施設のブランドイメージを確立し、信頼性と魅力を高めます。例えば、ロゴのデザイン、ウェブサイトの作成、顧客の声の収集と公開。
5.2. ローンチイベントの開催(Environment)
- 開設イベント: 施設の開設を記念して、地域住民や医療関係者を招待するオープンハウスイベントを開催します。
- メディアの活用: 地元メディアに開設イベントを取り上げてもらい、広報活動を行います。
ステップ6: 継続的な運営と改善
6.1. サービスの評価と改善(Occupation)
- フィードバックの収集: 利用者からのフィードバックを定期的に収集し、サービスの改善点を特定します。
- 継続的な改善: フィードバックを基にサービスを継続的に改善し、利用者満足度を高めます。
6.2. 事業の拡大と多角化(Environment)
- 新サービスの導入: 施設の成功を基に、新しいリハビリテーションサービスを導入し、事業を拡大します。例えば、オンラインリハビリ、遠隔診療、グループセッションの増設など。
- 地域連携の強化: 地域の医療機関や介護施設との連携を強化し、総合的なリハビリテーションネットワークを構築します。
具体例: 高齢者向け自費リハビリテーション施設「Active Life Rehabilitation Center」の開設
-
評価(Person & Environment)
- 高齢者のリハビリニーズを地域調査を通じて特定。
- 競合施設の分析を行い、独自のサービス提供の機会を発見。
-
計画(Occupation)
- 高齢者向けの個別リハビリプログラムとグループエクササイズセッションを提供する施設を設計。
- サブスクリプションモデルを採用し、月額料金でリハビリサービスを提供。
-
設計と開設準備(Environment & Person)
- バリアフリー設計の施設を選定し、必要なリハビリ機器を購入。
- 法的手続きと許可取得を完了し、安全対策を実施。
-
人材採用とトレーニング(Person)
- 経験豊富な作業療法士、理学療法士、看護師を採用し、専門的なトレーニングを実施。
-
マーケティングとローンチ(Environment & Occupation)
- 地域の医療機関や介護施設との提携を確立し、開設イベントを開催。
- SNSや地元メディアを活用した広報活動を展開。
-
継続的な運営と改善(Occupation & Environment)
- 利用者のフィードバックを基にサービスを改善し、定期的なアップデートを実施。
- 新しいリハビリサービスやオンラインリハビリの導入を検討し、事業を拡大。
このように、作業療法士AはPEOモデルを活用してリハビリテーション施設を効果的に計画、設計、開設、運営することができます。
退院後のリハビリは STROKE LABへ
当施設は脳神経疾患や整形外科疾患に対するスペシャリストが皆様のお悩みを解決します。詳しくはHPメニューをご参照ください。
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)