9ホールペグテスト【Nine Hole Peg Test (NHPT)】の実施方法:作業療法 手指/協調性 評価 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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9ホールペグテスト【Nine Hole Peg Test (NHPT)】の実施方法:作業療法 手指/協調性 評価

Nine Hole Peg Test (NHPT)とは?

Nine Hole Peg Test (NHPT)は、上肢の運動機能を評価するために使用される標準的なテストです。このテストは、特に手と指の巧緻性、スピード、および協調性を評価することを目的としています。以下にNHPTの概要を示します:

テストの方法

  1. 道具の準備

    • 9つの小さなペグと、それらを挿入する9つの穴が開いた正方形のペグボードを使用します。
  2. 手順

    • 被験者は、指定された手(通常は両手をそれぞれテスト)を使用して、一つずつペグをボードの穴に挿入し、全てのペグを挿入した後、再び全てのペグを取り除く作業を行います。
    • このプロセスをできるだけ速く行うよう求められます。
    • テストは通常、非利き手と利き手の両方で行われます。
  3. 評価

    • ペグを全て挿入し取り除くまでの時間を測定します。短い時間で完了するほど、上肢の運動機能が良好と評価されます。

使用目的

  • リハビリテーション

    • NHPTは、特に脳卒中、脊髄損傷、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経障害を持つ患者のリハビリテーションにおいて、その回復状況を評価するために使用されます。
  • 臨床評価

    • 医療専門家は、患者の上肢の運動機能を客観的に評価し、治療計画を立てる際の参考にします。
  • 研究

    • NHPTは運動機能に関する研究において、治療の効果や病気の進行状況を評価するためのツールとしても広く用いられています。

メリット

  • シンプル:簡単に実施でき、特別な訓練や技術を必要としない。
  • 標準化:標準化された手順により、異なる研究や臨床設定間での結果の比較が容易。
  • 信頼性:高い信頼性と妥当性が認められており、広く受け入れられている。

NHPTは、上肢の運動機能評価において非常に有用なツールであり、多くの医療施設で標準的に使用されています。

引用:SAKAI MEDより

Nine Hole Peg Test (NHPT) の実施に必要な機器は以下の通りです:

  1. ペグボード

    • 9つの穴が開いた正方形のボード(木製またはプラスチック製)。
    • 各穴の直径は10 mm、深さは15 mm。
    • 穴同士の間隔は32 mm(または50 mm)。
  2. ペグ

    • 9本のペグ。
    • 各ペグの直径は7 mm、長さは32 mm。
  3. ペグを入れる容器

    • ペグを収納するための浅い円形の皿(または四角い箱)。
    • 現在は、ボードの一端に取り付けられた浅い円形の皿が一般的。
  4. ストップウォッチ

    • ペグの挿入と取り出しの時間を計測するためのストップウォッチ。

これらの機器を使用して、NHPTを正確に実施し、上肢の運動機能を評価します。

実施例

シーン 1: 準備

金子先生はリハビリテーション室で丸山さんを迎え入れました。丸山さんは先月、脳卒中を患い、上肢の運動機能に制限があります。今日はその評価を行うために、Nine Hole Peg Test(NHPT)を実施します。

金子先生:「こんにちは、丸山さん。今日は、手の巧緻性を評価するテストを行います。Nine Hole Peg Testと呼ばれるテストです。このボードとペグを使って、あなたの手の動きを評価します。」

シーン 2: テストの説明

金子先生は、NHPTのボードとペグをテーブルにセットしました。ボードの一端には9つの穴があり、もう一端にはペグを入れるための浅い皿があります。

金子先生:「このテストでは、ペグを1本ずつ穴に挿入し、その後また1本ずつ取り出して皿に戻します。できるだけ早く行ってください。最初は利き手ではない方の手で行います。その後、利き手で同じテストを行います。」

シーン 3: テストの実施

丸山さんは、まず左手(非利き手)でテストを始めました。金子先生はストップウォッチを準備し、丸山さんが最初のペグに手を伸ばした瞬間に計測を開始しました。

金子先生:「よーい、スタート!」

丸山さんは慎重にペグを取り、穴に挿入しました。その後、全てのペグを挿入し終わると、再び1本ずつペグを取り出し、皿に戻していきました。金子先生は最後のペグが皿に戻された瞬間にストップウォッチを止めました。

金子先生:「左手でのタイムは、25秒です。よくできました。それでは、次は右手で行います。」

シーン 4: 右手でのテスト

丸山さんは右手でのテストを始めました。金子先生は再びストップウォッチを準備し、丸山さんが最初のペグに手を伸ばした瞬間に計測を開始しました。

金子先生:「よーい、スタート!」

右手でのテストは左手よりも少し速く、丸山さんは全てのペグを挿入し、再び取り出しました。金子先生は最後のペグが皿に戻された瞬間にストップウォッチを止めました。

金子先生:「右手でのタイムは、22秒です。素晴らしいですね!」

シーン 5: 結果の評価と次のステップ

金子先生は、丸山さんの左手と右手のタイムを記録し、それを元に評価を行いました。

金子先生:「丸山さん、結果は以下の通りです。左手が25秒、右手が22秒でした。右手の方が少し早いですね。これからのリハビリテーションでは、左手の機能をさらに改善するための練習を重点的に行いましょう。また、日常生活での動作も向上させるための訓練を続けていきます。」

評価の点数化

  • 左手のタイム: 25秒
  • 右手のタイム: 22秒

NHPTの結果は、上肢の運動機能の評価に非常に役立ちます。丸山さんのケースでは、左手のタイムを改善するための特定のリハビリテーションプランが必要であることがわかりました。このセッションを通じて、金子先生は丸山さんのリハビリテーションの方向性を明確にし、次のステップを計画することができました。

NHPTの結果と予後

NHPTの結果は、脳卒中後の上肢の運動機能の予後を評価するのに有用です。一般的に、NHPTのタイムが短いほど、上肢の機能回復が良好であるとされます。丸山さんの場合、右手でのタイムが22秒、左手でのタイムが25秒でした。この結果は、左右の手での運動機能に差があることを示しています。

リハビリテーション計画の具体例

1. 目標設定

  • 短期目標

    • 左手のタイムを22秒まで短縮する。
    • 右手のタイムを20秒以内にする。
  • 長期目標

    • 日常生活での両手の協調動作を改善し、独立した生活を送ることができるようにする。

2. 訓練プログラム

  • 巧緻性訓練

    • NHPTと同様のペグ挿入訓練を定期的に行う。
    • 小さな物をつまむ動作やボタンを留める動作を練習する。
  • 力と持久力の訓練

    • 軽い抵抗を用いた手指の筋力強化運動。
    • 持久力を高めるための反復運動(例:ハンドグリップエクササイズ)。
  • 協調性の向上

    • 手指の動きを改善するための視覚フィードバックを活用した訓練。
    • 両手を使った日常生活動作の練習(例:食事、衣服の着脱)。
  • 神経再教育

    • Biodex Balance Systemなどの先進的な装置を使用して、神経系の再教育を行う。
    • 感覚統合訓練を通じて、手指の感覚と運動の連携を改善する。

3. 評価とモニタリング

  • 定期的にNHPTを実施し、タイムの改善を評価する。
  • リハビリテーションプログラムの効果を評価し、必要に応じて調整を行う。

4. 日常生活への応用

  • リハビリテーションで学んだ技術を日常生活に取り入れるよう指導。
  • 家族や介護者に対する教育を行い、日常生活でのサポート方法を共有する。

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