専門技術職は頭脳集団に喰われる!? 療法士の未来像を考えてみる
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今日は、ちょいちょいのネットサーフィンの中で気になる記事をピックアップし、療法士の未来像のほんの一部の視点を僕なりに考えてみます。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48649
製造業に怒濤のようにITが入り込んでくるなかで、業界の主導権を握るのはITシステムの『頭脳』を開発した会社。トヨタもAIの研究開発の新会社を作るなど必死に動いています。しかし、すでに圧倒的に先行しているのはグーグルなどアメリカのIT企業。彼らに主導権を取られれば、日本勢は『下請け』としてただモノを作るだけの企業になる可能性もある」(京都大学産官学連携本部客員准教授の瀧本哲史氏)
規模がでかすぎる話なので、僕のようなベンチャーがどうこう言える話でもないのですが、療法士業界に一部応用できるかと思います。
それは…
「専門技術職は頭脳集団に喰われる」
というところですかね。
病院で働いている頃って、専門技術を高めながら組織の意向に合わせた働き方が基本かと思います。
どのレベルまで、どの領域に特化した、など専門技術を高めるという表現は曖昧にはなりますが、患者さんに求められる、時代に求められる専門技術の探求は今後も必須かと思います。
ですが、病院に働いていると、どうしても視野が特化する部分と狭小化する部分が出てきます。
狭小化は特にビジネス方面かと思われます。
なぜなら病院は、全てではないですが税金を利用している、保険を用いた万人への医療の提供、というマインドがある以上、売上などへの企業戦略には、よっぽどの管理職まで上り詰めないと、本気レベルまで要求されないと思います。
医療にビジネスを付け加えると、なんとなく悪い事を考えている気分にもなりやすいです。
もちろん上司から、1日20単位以上がノルマです、など売上目標に対する行動は要求されるのですが、その単位がどのレベルの売上で、それが病院の何に使われる、あるいは何の未来に投資されていなのかを身体で感じることができません。あくまで受け身レベルでのビジネスです。
これにより、ますます狭い業界、組織、身近な上司の方針に合わせた働き方が無意識にでも構築され、思考がパターン化します。
多様性を求められる時代に取り残される、業界が危なくなるとモロに大打撃を食らう個人レベルになる可能性があります。
「この病院はとても仕事がしやすい。給料は少し安いけど生きがいをもってやれている。死ぬまでここで働きたい」
と充実しながら働いている療法士の方々、、、もしかしたら頭脳集団教育で出来上がった社畜マインドに陥っているかもしれません
余計な事を考えない社員を育てるのも経営力の一部ですからね。
ただひたすらに何も考えず、事故を起こさず、単位を取り続けるセラピストを育成すること。
思考停止したセラピストは業界変容に一番打撃を食らう人たちです。
戦争で第一線をはって戦っているにも関わらず、一番安全なところでコーヒー飲みながら談笑している人もいます。
話がややこしくなってきましたので、戻しますと
専門技術屋はますます頭脳集団に喰われると考えています。
ここで重要な事は、「じゃあ専門技術はそこそこにして、経営スキル、管理能力を高めていったほうが生き残れる」
と考えてはいけません。
専門技術は非常に大事です。一番患者さんに直結しますからね。
実際、病院を辞めて自費で生計を立てている自分としては、何が武器になっているかというと、圧倒的に病院で身につけた専門技術です。
ものすごい武器です。
これで生計を立てていくことは、まだ起業2年目なので説得力ゼロですが、細々とやっていけるかもしれません。
ですが、10年続けられることと、30年あるいは僕の引退後にお店が生き残り続けることまで考えると、技術屋オンリーではマズイと思っています。
「これからの日本企業にはぶれない強みと基軸を持ちながらも、時代の変化に対応する身軽さが求められます。そうした二律背反的要素の共存を実現できる経営者しか、会社を成長させられない。
いま三菱商事や三井物産など総合商社が苦しみ出したのも、彼らは身軽さはあるけれど、確固たるビジネスの軸がないのが原因です。今後も厳しい状況は続くでしょう。変化の激しい時代にあって、成長しない多くの企業はどんどん追い抜かれ、落ちこぼれていく。勝ち残れる会社はごく一部。われわれはそんな厳しい時代に突入したのです」(一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任教授の名和高司氏)
上の文書から特に
「高度な専門技術力✕高度な経営(IT)」
を常にアップデートさせることが最も重要と考えています。
高度な技術力は、僕にとっての臨床であり「ぶれない強みと基軸」になります。
一方で、まだまだですがITを活用した頭脳戦略はむちゃくちゃ重要です。勉強中ですが、単にyoutube出せ出せ、自己発信しよ、SEOを意識せよ!!という表面的なものではなく、
時代の流れを読む、質、タイミングも含めた、「意思決定」つまり「考え続ける能力」が求められます。
ITをバカにすると、技術は一瞬で喰われます、そんな時代になっています。病院でIT特化の勉強はかなり難しいです。
人間やめますか??それとも考え続けますか??
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48649
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)