vol.29:体性感覚欠如時における代償戦略とは? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
脳科学,姿勢制御
タイトル
前庭刺激に対する姿勢反応における体性感覚の影響 Somatosensory influence on postural response to galvanic vestibular stimulation?PubMedへ Hlavacka F, Horak FB:Physiol Res. 2006;55 Suppl 1:S121-7
内 容
概 要
●体性感覚情報が十分で空間での方向付けや姿勢が外部の動揺に対して安全な時,糖尿病患者のような体性感覚がLoss した患者において,移動する床面で立位によって影響を受ける前庭系の姿勢反応がどのようなものかを呈示している
●仮説として,体性感覚の欠如と不安定な床面は前庭脊髄路系の感度を増大させるものとした
●COPの動揺は前庭脊髄路系の興奮が増大したものとして解釈
結 果
●静止した床面において糖尿病患者は正常人と比較し,前庭脊髄路系の発火が増大した
●不安定な床面においても動揺の結果が得られた
Fig.1:固定された床面と移動する床面における健常者と糖尿病患者におけるCOP偏移(前庭刺激量)の比較・相違
●シビアな感覚障害があればあるほど前庭系の活動の増大やCOPの重心移動の増大を認める
まとめ
●前庭系への伝導刺激は表層からの体性感覚情報に基づくことが示された
●また,異なる速度で動く床面で立つことに関連して,COPが移動したり足部の筋群の発火によって前庭神経系の活動は増大する
●座位や支持面を作ると前庭系が発火しにくくなる→立位から座位になる際に前庭神経系をOffにできないとなかなか座れないことになる
●安定した床面情報やCOPの移動などが重要となる
●仮説としてからだが大きく傾くことは床面からの入力の変換に伴う前庭系の発火により生じたものである
明日への臨床アイデア
●片麻痺などの体性感覚入力が欠如している患者において,前庭系の代償は必須となっている
●身体をあえて傾けることで前庭系の入力を強めるstrategy をとるということも評価において把握しておくことは重要
●前庭系は身体の抗重力伸展を高めるが,過剰な場合は従重力へのコントロールを阻害する可能性があることからも,臨床上どのような手段を用いて前庭系をOffにしていくのかを誘導の中で模索する必要がある
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)