vol.39:介助者による軽く触れる介助の意味・中身とは?:脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
脳科学
タイトル
神経学的状態からみるバランスコントロールの援助としての接触介助 Deliberately Light Interpersonal Touch as an Aid to Balance Control in Neurologic Conditions?PubMedへ Johannsen L et al:Rehabil Nurs. 2014 Dec 27. doi: 10.1002/rnj.197
内 容
目 的
●著者らは,神経障害患者(パーキンソン12名・陳旧性片麻痺患者11名)に対する軽いinterpersonal touch (IPT) が,body sway(身体動揺)を減らすかどうかを調査
方 法
●health-care professional(医療専門家)により,体幹背部からIPTが提供されながら,pressure plateで計測
Fig.1:接触介助のポイント(A)パーキンソン患者(B)慢性脳卒中患者 (Johannsen L et al:2014より引用)
結 果
●前後方向のswayが両群で減少した
●上方のshoulder levelにIPTが提供されている時や,2 contact(2点接触)が同時に提供されている時に,より効果的な結果を認めた
Fig.2:接触ポイント領域における身体動揺の程度比較 上:パーキンソン病患者 下:慢性脳卒中患者 (Johannsen L et al:2014より引用)
結 論
●軽いIPTは,患者のpostural stability(姿勢安定性)を高める
●軽いIPTは,患者の感覚運動コントロールを促通したり,バランスを保証するmanual handling戦略と同じ働きをもつと思われる
明日への臨床アイデア
●軽い接触介助が日頃の病棟で実践されていけば,患者さんが安全にバランスを運動学習していく事ができると思われる
●普段何気なく,軽介助・重介助などと看護サイドと連携をとっているが,その指標は一定しなく,療法士ごとでかなりな差異があることも多い
●重介助になりすぎてしまえば,患者さんの潜在性を引き出すことは出来ないし,軽介助になり過ぎても転倒などのアクシデント要因になり兼ねない
●療法士が,どの程度の介助で患者さんにどのような反応があるからこの程度の介助量で実施してもらうかを,軽・中・重などの順序尺度だけで看護サイドと連携を図っていてはならないし,そのレベルの判断は看護サイドでリハ介入時より前に対策が練られていると思われるため,専門的知識・スキルをもって連携を図ることが患者・コメディカル間の信頼性を得ることにも繋がるように思う
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)