vol.53:立ち座り動作に作用するハムストリングスの機能的中身 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
運動学,バイオメカニクス
タイトル
慢性期脳卒中患者に対する5回立ち座りテストの信頼性と妥当性 5-repetition sit-to-stand test in subjects with chronic stroke: reliability and validity?PubMedへ Mong Y et al.:Arch Phys Med Rehabil. 2010 Mar;91(3):407-13
内 容
概 要
●著者らは,5回連続立ち座りテストと下肢筋力やバランス能力との関連性,若年者/健常高齢者/脳卒中患者のカットオフ値,テストの信頼性/再現性などを調査
方 法
●研究デザイン:Cross-sectional study
●36名(12名の脳卒中,12名の健常高齢者,12名の若年者)が対象
●筋力は,ハンドヘルドダイナモメーターにて股関節屈曲,膝の屈曲/伸展,足関節背屈/底屈を測定
●その他に,Berg Balance Scale(BBS)・Limits of stability(LOS)testを測定
Fig.:実験における姿勢設定条件(Mong Y et al.:2010)
結 果
●結果として,脳卒中群における5回連続立ち座りテストの点数は,麻痺側/非麻痺側下肢ともに膝屈曲筋力と優位に関連し,BBSやLOSでは見られなかった
●カットオフは12秒(健常高齢者,脳卒中:sensitivity83%,specificity75%)であった
Fig.:脳卒中者群における各Outcome結果(Mong Y et al.:2010)
まとめ
●膝屈筋群の筋力のみ,5回連続STSのパフォーマンスと関係
●膝屈曲筋群は立ち座り動作の際,膝関節の安定性を保ちつつ,股関節の伸展活動を補助する
私見・明日への臨床アイデア
●なぜハムストリングスを立ち座りの中でハンズオンして促通する必要があるのか?を説明するいい文献である
●ハムストリングスは二関節筋で,機能解剖学的には膝を屈曲,股関節を伸展させる
●立ち上がり座りの中では下腿を後方へ引きつけて安定させ,骨盤を上方へ押し上げてくれる働きをしている
●ハムストリングスは立ち上がりの中では,compartmentalizationの働きを持っており,近位部は求心性収縮(Afferent Contraction),遠位部は遠心性(Efferent Contraction)に収縮してその機能を果たす
●様々な動作においても言えるが,この筋近位と遠位の協調的筋収縮関係は,COMを高い位置でKeepしながら効率的な回転モーメントを生成することに寄与し,動作における機能的パフォーマンスを補償する重要なComponentの一部であることを把握しておくことは,臨床で患者治療する上で重要である.
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)