vol.58:前庭障害患者における姿勢反応-前庭入力の誘引と調節の役割- 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
脳科学,姿勢制御
タイトル
片側・両側前庭障害患者における姿勢反応の前庭入力の誘引と調節の役割 Role of vestibular input in triggering and modulating postural responses in unilateral and bilateral vestibular loss patients?PubMedへ Mbongo F et al.:Audiol Neurootol. 2009;14(2):130-8
内 容
目 的
●この研究の目的は,課題に依存してシーソー台の上で開眼・閉眼にてテストし,片側前庭障害(UVL)の代償を伴う患者に重大な中間-側方の不安定性が見られるかどうか決定すること
方 法
●UVL患者は発症経過の期間から3グループに分類され(1週間,1ヶ月,1年),両側前庭障害患者と同年齢のコントロール群被験者は以下の3つのダイナミックな姿勢コントロールの課題を実施
①シーソー床
②水平移動する床
③固定した床上に置かれた気胞ゴム
●それぞれの課題は平衡を保つ為の異なる体性感覚キューを要求される
●患者の前後と中心側方方向,両方の圧中心の偏位はプラットフォームのひずみゲージによって記録され,閉眼のテストのみで分析
結 果
Fig.:3課題における閉眼状態での転倒率比較(Mbongo F et al:2009)
●両側前庭障害患者は,気胞ゴムとシーソー課題のときには倒れたが,移動する床では倒れなかった
●UVL患者は,シーソー床で大きな姿勢の動揺が前後方向よりも中心側方へ多く起こる事が以前に報告されている
●この研究でも患者のパフォーマンスとして同様の前後/中心側方の違いが『両足をつけた』立位時に見られた
●対照的に,これらの違いは患者が直線の移動をテストされた時もしくは発泡体に足を開いて立っていても見られない
結 論
●結果として,前庭障害の患者の姿勢パフォーマンスは姿勢安定性を課題使用にて評価する必要である
●UVL患者は,中心側方の方向への運動時に安定しない
●何故ならば,課題の生体力学的もしくは固有受容感覚情報の入手が制限されるからである
私見・明日への臨床アイデア
●この文献では,前庭障害患者が前庭機能の回復もしくは固有受容感覚情報の統合に改善が見られているかは分からないが,経過立つにつれパフォーマンスの改善がみられている
●前庭障害患者へのバランスの促通時には,多方向に行い,改善した前庭機能と固有受容感覚を元にバランスをとれる範囲を広げていかなければならないと考えさせられるStudy
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)