【2024年版】脳卒中リハビリにおけるヨガの効果とは?脊柱可動域の改善と心身の回復を促す方法 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年版】脳卒中リハビリにおけるヨガの効果とは?脊柱可動域の改善と心身の回復を促す方法

 

論文を読む前に

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

・ヨガの理論をリハビリテーションに活かしているセラピストは昨今多い。今回ヨガの効果を検討した論文を見つけたため、読もうと思った。

論文を読む前に「脳卒中とヨガ」について事前におさらいしましょう。

テーマ:脳卒中とヨガ

登場人物

リハビリテーション医:金子先生   療法士:丸山さん

金子先生: 丸山さん、今日は脳卒中後の機能障害に対するヨガの効果について話しましょう。最近の研究では、ヨガが身体機能や心理的健康の改善に寄与することが示されています。特に、バランス能力や筋力、可動域、さらには精神的な安定に対する効果が注目されています。

丸山さん: ヨガがリハビリに効果的だとは知りませんでした。具体的にどのような効果があるのでしょうか?

脳卒中後のヨガの具体的な効果

金子先生: いくつかの論文で、ヨガが脳卒中後の患者におけるバランスや可動域の改善に効果的であることが報告されています。例えば、ある研究では、週2〜3回のヨガセッションを行った患者が、6週間後にはバランス能力が大幅に改善し、転倒リスクが減少したことが示されています 。

丸山さん: バランス能力の向上は、脳卒中後の患者にとって非常に重要ですよね。それ以外にもどのような効果がありますか?

金子先生: そうですね。ヨガはまた、筋力や柔軟性の向上、そして心理的なストレス軽減にも寄与します。脳卒中患者はしばしば、筋肉の硬直や関節の可動域制限、そして抑うつや不安を経験します。ヨガのポーズと呼吸法は、これらの問題を緩和し、全身の調和を促進することができます 。

メカニズム:ヨガが脳卒中後の身体機能に及ぼす影響

丸山さん: 具体的に、ヨガがどのようにしてこれらの改善をもたらすのか、メカニズムについて教えてください。

金子先生: ヨガが身体に与える影響は多岐にわたります。まず、ヨガのポーズは静的な筋収縮を促し、筋力の強化と関節の可動域の拡大を促します。特に、バランスを必要とするポーズは、体幹や下肢の筋力を強化し、姿勢制御を改善することができます。さらに、ヨガの呼吸法と瞑想は、自律神経系を調整し、心拍変動や血圧の安定化をもたらします 。

丸山さん: それにより、患者の全体的な身体機能が改善されるわけですね。

金子先生: その通りです。ヨガはまた、心理的な安定にも寄与します。脳卒中後の患者は、しばしば不安や抑うつを感じることがありますが、ヨガの呼吸法と瞑想は、心の平静を取り戻し、ポジティブな感情を引き出すことができます。これにより、リハビリに対するモチベーションも向上します 。

臨床への応用:ヨガをどのように取り入れるか

丸山さん:実際のリハビリにおいて、ヨガをどのように取り入れるべきでしょうか?

金子先生: ヨガをリハビリプログラムに取り入れる際は、患者の状態に合わせた調整が必要です。例えば、柔軟性や筋力が低下している患者には、簡単なポーズや呼吸法から始め、徐々に難易度を上げることが推奨されます。また、グループセッションを通じて他の患者との交流を促すことも、心理的な支えになります。重要なのは、ヨガをリハビリの一部として継続的に取り入れることです 。

丸山さん: ありがとうございます。ヨガが脳卒中後の患者にとって有益である理由がよくわかりました。

 

論文内容

カテゴリー

バイオメカニクス

タイトル

50歳以上の女性の脊柱柔軟性に対するハタヨガ(hatha yoga)の効果

Effects of hatha yoga exercises on spine flexibility in women over 50years old

?PubMed Małgorzata Grabara J Phys Ther Sci. 2015 Feb; 27(2): 361–365.

内 容

背景・目的

・運動は機能面の低下や肥満、糖尿病、骨粗鬆症などの疾患を予防するために重要であるが、どういった運動が適切なのか?は議論が分かれるところである。

・ヨガはヨーロッパやアメリカで人気の運動である。特定の姿勢を数秒間保持することで柔軟性、筋力、平衡機能の向上を図る。

・本研究は50歳以上の女性の脊柱可動性に対するヨガの効果を検討する。

方法

56名の女性

90分のヨガを週に1回、20週継続した。ポーズは山、木、猫のポーズなど20種類ほど実施した。

・立位の屈曲、伸展、左右回旋可動域をアウトカムとした。

結果

表:実験結果 Małgorzata Grabara (2015)より引用

 ・屈曲、伸展、回旋可動域は介入前後で改善を示し、平均で6.9°~12.5°の改善が得られた。

明日への臨床アイデア

・ヨガにより脊柱の可動域改善が証明された。具体的にどのポーズを取るか、そのポーズがどこを鍛えるのに有効かは勉強が必要だが、ヨガの臨床応用を後押しする論文だと考える。

下記に基本的な脊柱の可動域改善に効果的なヨガポーズの具体例を提示します。

1. キャットアンドカウポーズ(Cat-Cow Pose)

効果: 背骨の柔軟性を高め、脊柱を支える筋肉を強化します。特に、腰椎や胸椎の動きを促進します。

手順:

  1. 開始姿勢: 床に両膝と両手をつき、四つん這いの姿勢になります。肩の下に手を、腰の下に膝を配置し、背中をまっすぐ保ちます。指先は前方を向け、足の甲は床にぴったりつけます。
  2. カウポーズ(Cow Pose):
    • 息を吸いながら、尾骨を天井に向けて持ち上げるようにし、骨盤を前に傾けます。
    • 胸を開き、肩甲骨を寄せながら、背骨を下に向けて反らします。
    • 同時に、頭をゆっくりと持ち上げ、目線を天井に向けます。
  3. キャットポーズ(Cat Pose):
    • 息を吐きながら、尾骨を下に向けて丸め、骨盤を後ろに傾けます。
    • 背中を天井に向けて丸め、肩甲骨を外側に広げます。
    • 顎を胸に引き寄せ、目線をお腹に向けます。
  4. 動作の繰り返し:
    • 息を吸うたびにカウポーズに移行し、吐くたびにキャットポーズに移行します。動作をゆっくりと繰り返し、呼吸と動きを調和させます。

2. ダウンドッグ(Downward-Facing Dog Pose)

効果: 背骨全体を伸ばし、肩甲骨周りの筋肉を強化します。また、腰椎の可動域を向上させます。

手順:

  1. 開始姿勢: 四つん這いの姿勢から始めます。両手を肩幅に広げ、両膝を腰幅に広げます。
  2. 動作:
    • 手のひらをしっかりと床に押し付け、指を広げます。息を吐きながら、膝を床から持ち上げ、両足のつま先を床につけます。
    • お尻を天井に向けて持ち上げ、体全体で「V」字の逆さまの形を作ります。背中はまっすぐに伸ばし、かかとは床に向かって伸ばしますが、かかとが床に届かない場合は無理に伸ばす必要はありません。
  3. 注意点: 腕を耳の横に保ち、肩を耳から離すようにします。背骨を伸ばすことに集中し、膝を軽く曲げてもかまいません。

3. チャイルドポーズ(Child’s Pose / バーラーサナ)

効果: 背骨の全体的なリラックスと伸展に役立ち、特に腰椎に優しいストレッチです。

手順:

  1. 開始姿勢: 正座の姿勢から始めます。膝は腰幅に広げ、足の親指を軽くつけておきます。
  2. 動作:
    • 息を吐きながら、上体を前に倒し、額を床につけます。お尻をかかとに近づけ、腕は前方に伸ばします。
    • 両手のひらを床につけ、背骨をリラックスさせます。
  3. 注意点: 肩や首に緊張を感じる場合は、腕を体の横に下ろして手のひらを上向きにすることでリラックスさせることができます。

4. コブラポーズ(Cobra Pose)

効果: 胸椎と腰椎の伸展に効果的で、脊柱を支える背筋を強化します。

手順:

  1. 開始姿勢: うつ伏せになり、足を腰幅に広げ、足の甲を床にぴったりとつけます。
  2. 動作:
    • 両手を肩の下に置き、肘を体側に引き寄せます。
    • 息を吸いながら、上半身を持ち上げ、胸を開いて背骨を反らします。肘を軽く曲げ、肩を下げます。
    • 目線を前方またはやや上に向け、背中を反らしすぎないように注意します。
  3. 注意点: 腰に過度な負担がかからないよう、腹部を軽く引き締めながら行います。

5. 脊柱ねじりのポーズ(Spinal Twist Pose)

効果: 胸椎や腰椎の柔軟性を高め、脊柱の回旋動作を促進します。

手順:

  1. 開始姿勢: 座った姿勢で、両足を前に伸ばします。背筋を伸ばし、骨盤を安定させます。
  2. 動作:
    • 右膝を曲げ、右足を左膝の外側にクロスさせます。
    • 左手で右膝を抱え、右手を体の後ろに置いて支えます。
    • 息を吸いながら背骨を伸ばし、息を吐きながら上体を右にねじります。
    • 目線を右肩越しに後ろに向け、背骨のねじれを感じます。
  3. 左右の繰り返し: 反対側も同様に行い、左右均等にねじります。

これらのポーズを正しく実施することで、脊柱の可動域が改善し、姿勢の安定性や柔軟性が向上することが期待されます。各ポーズをゆっくりと無理なく行い、呼吸に合わせて動作を進めることが重要です。

論文サマリー 一覧はこちら

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