脳卒中者の体幹可動性に対する足部活性化アプローチとは?
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
脳卒中者の体幹可動性に対する足部活性化の効果
Effects of activation of the foot on trunk mobility of patients with hemiplegia.?PubMed Kim YD J Phys Ther Sci. 2015 Apr;27(4):1079-10822015. doi: 10.1589/jpts.27.1079.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・足部の活性化(activation of the foot)とはどういったアプローチを行うのか、またそれが体幹にどう影響を及ぼすのか興味を持ったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・体幹機能の低下が脳卒中者の動作障害のひとつの原因であり、その機能の回復はリハビリテーションが担うところである。
・脳卒中者は体幹筋の機能低下から防御的な姿勢保持をすることが多く、骨盤運動に制限が出やすい。立位体幹屈曲では骨盤後傾位をとることが多く、足圧中心(COP)の前方変位が少ないと言われている。
・これらの動作改善のために、抗重力筋の正常な筋活動、正確な足部位置などが重要と言われている。
本研究はその中でも足部に対して着目し、足部の活性化が体幹機能に及ぼす影響を検討する。
方法
・16名の低頻度介入(IG)群と14名の高頻度(2MG)介入群
・IG群は週1回8週間、2MG群は週3回8週間の介入だった。
・Trunk Impairment Scale (TIS)とSpinal Mouseにて体幹の可動性を計測した。また、Touch-Test Sensory Evaluatorsにて感覚の評価を行った。
・介入は以下の三つを行った(上から皮膚感覚刺激、足趾牽引、背屈自動運動)。
図:介入方法 Kim YD (2015)より引用
結果
表:実験結果 Kim YD (2015)より引用
・介入後、両群ともに立位時の腰椎前彎角度の有意な減少がみられたが、IG群の方が2MG群より大きく減少していた。
・介入後、IG群では立位時の仙腸–股関節、腰椎、胸椎の可動性改善が得られた。2MG群では仙腸–股関節、腰椎、傾き(傾きはおそらく脊柱全体の屈曲もしくは伸展角度)の可動性改善が得られた。両群ともに可動性改善が得られたが、2MG群の改善が大きかった。
・静的TISスコアは両群ともに改善が得られたが、群間の差はなかった。
・動的TISスコア、協調性TISスコア、感覚は2MG群で有意な改善がみられた。
私見・明日への臨床アイデア
・足部活性化というアプローチにより立位時の体幹可動性が向上したという研究で、介入頻度が週1回よりも週3回の方が改善具合が大きいという報告だった。実験デザインに関して、同じアプローチを介入頻度の差で比較したのはなぜなのか疑問に残る。目的は足部活性化というアプローチが有益であることを証明したいのであり、対照群は一般的な理学療法など別な介入方法でなければ意味がないのではないかと感じた。足部から体幹の動的可動性がどう変化するかはとても興味がある視点なため、次の研究に期待したい。
氏名 匿名希望
職種 理学療法士
脳卒中後の足関節背屈のトレーニングに役立つ動画
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2017年12月まで7施設の病院からご依頼を頂いており、計14回の講義・実技を行う予定です。
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)