脳卒中患者の補償的・代償運動戦略~grasp strategy~   脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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脳卒中患者の補償的・代償運動戦略~grasp strategy~   脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

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カテゴリー

神経系

 

タイトル

脳卒中者の補償的運動戦略~grasp strategy~

Compensatory motor control after stroke: an alternative joint strategy for object-dependent shaping of hand posture.?PubMed Raghavan P et al.(2010)

 

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

● 臨床において、物をつかむ練習をすることが多く、脳卒中者の「reach」「shape」「grasp」についてより学びたいと思ったため。

 

内 容

背景

 

● 効率的な「grasp」は、対象物に接触する前に、物体の形状に近似する手の形を「(pre)shaping」する計画された正確な調整が必要です。

 

●健常者では手のshapingはフィードフォワード制御下で、物体への「reach」の早期に起こることが知られている。

 

●「reach to grasp」時に物体に関する視覚情報が予期せずに変更されると、reachの減速段階でhand postureが調整され、視覚フィードバックを使用してhand postureと物体の形状の一致を修正する。

 

● 健常人ではhand shapingはフィードフォワードで起こり、続いて減速段階の間にフィードバック依存の調節が行われます。脳卒中後の片麻痺患者では、「reach to grasp」中の指の協調的な運動の遂行は、皮質脊髄路の損傷の結果として損なわれます。

 

● 問題は、片麻痺患者が実行機能の低下を、質的に異なるgrasp strategyで対象物の形状に合ったhand postureに合わせることを補償できるかどうかである。

 

目的/方法

 

● 対象物にreach/graspする能力を有し、他の非運動領域においての著明な機能低下を有さなかった軽度右麻痺患者8人(27歳から79歳の5人の女性および3人の男性)と年齢が一致した参加者(対照群)が参加した。

 

● 本研究目的は、1)軽度片麻痺患者が、長方形、凹状または凸状の物体にreach/graspする時に、手を形作るために質的に異なる補償戦略をとるか調査することであった。 2)その補償的戦略がリーチ加速中にフィードフォワードで使用されるか、またはリーチ減速中に出現するかを調査した。

 

● 研究では被験者は、試験用の手袋を着用し、長方形の凹凸のある物体をつかんだ。

 

● 「reach to grasp」は、手関節の運動学に基づいて①リーチ加速時②リーチ減速時③graspの3つの相に分けられました。

 

結果

 

 

● 脳卒中群は、対照群と比較し、3つの形状全てにおけるgraspにおいて、指の外転・PIP屈曲、およびMCP伸展の減少を示した。

 

 

 

● 脳卒中群は、対照群に見られるPIPの屈曲よりもむしろMCPの屈曲の増加を含む補償戦略を使用して、凸凹形状のhand postureを部分的に識別することができました。

 

 

 

● 興味深いことに、対象物の形状特有のhand postureは、CON群で見られるようにリーチ加速中に観察されませんでしたが、代わりにリーチ減速中に後に発展させ、感覚フィードバックへの依存度が高まっていることが示唆されました。

 

● 臨床的観点から、脳卒中後の回復過程をよりよく理解するためには、補償的戦略の定量的研究が重要です。

 

私見・明日への臨床アイデア

 

● 脳卒中患者では、補償的戦略が著明に観察される。本人の得意パターンと苦手な事を把握する評価をしっかり行いたい。例では、出力優位の方は、対象物と手の間の情報のやりとり(入力)を学習する事で、動作が幾分円滑となる場面を経験する。視覚的・言語的・徒手的cue等駆使して、より良い動作を学習できるように経験を積んでいきたい。

 

職種 理学療法士

 

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