【2024年版】sway back(スウェイバック)姿勢と筋活動、原因、リハビリ、生活の注意点まで リハビリ論文サマリー
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sway back(スウェイバック)姿勢のおさらい
登場人物
- 新人療法士: 丸山さん
- 整形外科医: 金子先生
ストーリー
カンファレンスルームでの対話
丸山さんは、リハビリテーションの新人療法士として、金子先生の講義に参加しました。今日のテーマは「Sway Back姿勢」についてです。
講義の開始
金子先生は、Sway Back姿勢の原因、特徴、解決方法について、最新の研究論文を基に説明を始めました。
金子先生: 「丸山さん、今日はSway Back姿勢について話しましょう。この姿勢は、腰椎が過度に前弯し、骨盤が後方に傾斜している状態を指します。腰痛や姿勢異常の原因となることが多いです。」
原因
金子先生は、Sway Back姿勢の主な原因について説明しました。
金子先生: 「Sway Back姿勢の原因は、いくつか考えられます。主な原因を挙げてみましょう。」
1. 筋力の不均衡
- 腰椎伸筋の過剰な緊張: 腰椎伸筋が過剰に緊張し、腰椎が過度に前弯します。
- 腹筋と臀筋の弱化: 腹筋や臀筋が弱化すると、骨盤が後方に傾きやすくなります。
2. 不適切な姿勢習慣
- 長時間の座位: デスクワークなどで長時間座っていると、自然とSway Back姿勢が形成されやすくなります。
- 不適切な立位姿勢: 立位での不適切な姿勢が習慣化することも原因の一つです。
3. 身体の構造的問題
- 骨盤の傾斜: 骨盤が先天的に後方に傾いている場合、Sway Back姿勢が形成されやすくなります。
- 脊柱の形状: 脊柱の形状が影響することもあります。
特徴
次に、金子先生はSway Back姿勢の特徴について詳しく説明しました。
金子先生: 「Sway Back姿勢の特徴を理解することで、診断と治療がしやすくなります。」
1. 骨盤の後傾
- 骨盤が後方に傾斜しているため、腰椎が過度に前弯し、胸椎が後方にカーブします。
2. 重心の後方移動
- 重心が後方に移動するため、全体的なバランスが崩れやすくなります。
3. 上半身の前傾
- 上半身が前方に傾斜し、背中が丸くなる姿勢が特徴です。
4. 膝関節の過伸展
- 膝関節が過伸展しやすく、膝の後ろ側に痛みを感じることがあります。
解決方法
金子先生は、Sway Back姿勢の解決方法についても詳しく説明しました。
金子先生: 「Sway Back姿勢を改善するためには、いくつかのアプローチが必要です。」
1. 筋力強化
- 腹筋と臀筋の強化: 腹筋と臀筋を強化することで、骨盤の後傾を改善します。プランクやスクワットなどのエクササイズが有効です。
2. ストレッチ
- 腰椎伸筋のストレッチ: 腰椎伸筋をストレッチすることで、過度な前弯を緩和します。ヨガのキャットカウポーズなどが効果的です。
3. 姿勢の再教育
- 正しい姿勢の習得: 正しい立位や座位姿勢を再教育することが重要です。鏡を使って自分の姿勢を確認する方法や、姿勢矯正ベルトの使用が推奨されます。
4. 日常生活の改善
- デスクワークの見直し: 長時間座っている場合は、定期的に立ち上がってストレッチを行うことが重要です。
- 適切な靴の選択: 適切な靴を選ぶことで、足元からの姿勢改善が期待できます。
まとめと今後の展望
金子先生は、講義のまとめとして今後の展望について話しました。
金子先生: 「丸山さん、今日お話ししたSway Back姿勢の原因、特徴、解決方法を理解し、患者さんに適切なリハビリテーションを提供することが重要です。最新の研究を活用し、個々の患者に合ったプランを作成していきましょう。」
丸山さん: 「金子先生、詳しい説明をありがとうございました。これからのリハビリテーションにおいて、今日学んだ知識を活かしていきたいと思います。」
姿勢制御については下の記事を参照してくださいね!
論文内容
タイトル
sway back姿勢と腰背筋の関係Fat infiltration in the lumbar multifidus and erector spinae muscles in subjects with sway-back posture.?PubMed Adriano Pezolato et al.(2012)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
人は様々な姿勢を取ります。その習慣は筋の弱化や短縮等を引き起こし、場合によっては疼痛など問題を引き起こす。様々な姿勢の特徴を知っていく事は、そのような身体の状態を推察し、治療に生かしていく事に繋がると思い本論文に至る。
内 容
目的
・腰部の安定させる筋の活動性の低下は、sway back postureで確認されている。筋の不使用は、これらの筋を萎縮させやすく、減少した断面積(CSA)および脂肪浸潤によって特徴付けられる。
・本論文の研究目的は、腰痛の有無にかかわらず、sway back postureにおける筋萎縮の徴候として、腰部多裂筋と腰部脊柱起立筋の萎縮と脂肪浸潤量を評価することであった。
方 法
・16歳から40歳の54名の研究に参加した。症例は、症候性のsway back posture(SSBG)、無症候性のsway back posture(ASBG)、および対照群(CON)の3つのグループに分類された。
・最初に姿勢を分類するために写真で分析を受け、次いで腰部のMRI検査を行った。
・腰部脊柱起立筋および腰部多裂筋との総断面積(TCSA)および機能的(FCSA)断面積をL1からS1まで測定した。脂肪浸潤の量は、TCSAとFCSAとの間の差として推定された。
結 果
・腰部脊柱起立筋および腰部多裂筋の両方のL5レベルが最も影響を受けた領域であった。
・腰痛のある個体で、この領域で脂肪浸潤を示した。
・sway back posture群の腰部脊柱起立筋および腰部多裂筋において、対照群よりもより大きな脂肪浸潤が観察された。筋肉内の脂肪の増加は、安定化機能を有する筋肉の収縮性に影響を及ぼし、部分的不安定性に影響する可能性がある。
・swayback postureの主な偏位の1つである骨盤の前方変位は、後退する重力線の位置を変える。
・sway back postureの方は、疼痛および習慣的姿勢の結果として、腰部脊柱起立筋および腰部多裂筋の形態学的変化を受け易いことを示している。
論文背景や興味深かったこと
・被験者の年齢も比較的若い中でCON群と比較し脂肪浸潤(筋の不使用の特徴)の差が顕著に出現している。症状の有無、加齢とも関係なしに自身の体と向き合い予防を図っていくことが大事であると思われた。
明日への臨床アイデア
最後にsway back姿勢が及ぼす問題と生活上での注意点やエクササイズなどについて触れていきます。
Swayback姿勢と多裂筋や脊柱起立筋の脂肪浸潤
まず、多裂筋と脊柱起立筋は、脊柱の安定性と姿勢保持に重要な役割を果たします。これらの筋肉は、背骨を適切に支え、姿勢を整えるために機能します。Sway Back姿勢では、これらの筋肉に脂肪浸潤が認められることがあります。脂肪浸潤は、筋肉の機能を低下させ、姿勢の維持に悪影響を与えます。特に、腰椎の過度な前弯や骨盤の後傾が進行すると、筋肉の機能がさらに低下し、脂肪が蓄積しやすくなります。
生活での注意点
正しい姿勢の維持
日常生活で正しい姿勢を維持することが重要です。デスクワークや長時間の座位が多い場合、定期的に立ち上がり、体を動かすことを意識しましょう。
適切なエクササイズ
適切なエクササイズを取り入れることで、筋力を維持し、脂肪浸潤を防ぐことができます。特に、コアマッスルや体幹筋群のトレーニングを重視します。
姿勢補助具の使用
必要に応じて、姿勢補助具やサポートベルトを使用することで、姿勢の改善を図ることができます。ただし、補助具の使用は一時的なものであり、根本的な筋力強化が重要です。
リハビリのポイント
筋力強化
- 多裂筋と脊柱起立筋のトレーニング: これらの筋肉をターゲットにしたエクササイズを取り入れます。プランクやバックエクステンションなどが有効です。
ストレッチとモビリティ
- 腰椎および骨盤周囲のストレッチ: 過度な前弯を緩和するためのストレッチを行います。特にハムストリングや腰部の筋肉を伸ばすことが効果的です。
- モビリティエクササイズ: 腰部と骨盤の柔軟性を向上させるエクササイズを取り入れます。ヨガやピラティスが有効です。
姿勢の再教育
- 姿勢矯正トレーニング: 鏡を使用して自分の姿勢を確認し、正しい姿勢を意識的に練習します。
- エルゴノミクスの見直し: 仕事環境や家庭内の姿勢を見直し、エルゴノミクスに基づいた改善を行います。
姿勢の診方については下の図を参照してください。より細かく知りたい方は、代表の書籍の「脳卒中の動作分析」を読んでみてくださいね。
退院後のリハビリは STROKE LABへ
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)