vol.150:腓腹筋のトルクと関節角度の関係性 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
腓腹筋のトルクと関節角度の関係性Knee and Ankle Joint Angles Influence the Plantarflexion Torque of the Gastrocnemius?PMCへDennis Landin.et al.(2015)
本論文を読むに至った思考・経緯
•足部、足関節へ介入することは多い。より知識を深め、より意味のある治療を行いたいと思ったため。
論文内容
論文背景
•腓腹筋(GAS)は、膝と足関節の両方をまたぐ下肢唯一の二関節筋である。他の二関節筋と同様に両方の関節がその長さ-張力曲線に影響を及ぼす。底屈筋としてのGASの役割は確立されている。
•現在の研究では、(PF)底屈トルクが膝関節および足関節の角度変化によりどのように変化するかは研究されていない。
研究目的
•研究目的は、膝関節と足関節角度の組み合わせでGASが発生する底屈力を調査する事である。
研究方法
•26人の女子学生の右下肢のGASが対象となった。
•24通りの膝と足関節の角度の組み合わせで行われた。
•Biodexを使用し、等尺性PFトルク(Nm)を測定した。
•GASは表面電極を取り付けられ電気刺激された。
•データは三通りの方法で記録された①passiveモーメント:電気刺激なしの状態で作られた底屈モーメント②maximum モーメント:passive モーメントを含む電気刺激中の最も高いPFモーメント③stimulated モーメント:電気刺激にて得られたPFモーメントからpassiveモーメントが引かれたPFモーメント
研究結果
•完全に伸展した膝(0°)および背屈した足首(+ 15°)が最高トルクを生じ、105°の膝屈曲および足関節背屈(-15° )は最小値を生じた。
•腓腹筋から最大PFトルクを生成するには、可能な限り膝を伸展し、足関節を背屈させる必要がある事が示された。
他論文より追記
•The function of gastrocnemius as a knee flexor at selected knee and ankle angles.(Li Li et al.2002)
•腓腹筋は膝関節屈筋としても重要である。
•GASの膝屈曲モーメントが最大となるのは、全ての足関節角度にわたり、膝関節が真っすぐ伸びた(論文上180°)の状態であったと示されている。
•膝関節角度が160°~180°の間で膝屈曲モーメントは2倍程度の差があることが示された。⇒十分な膝の伸展がGASによる膝関節の安定に必要である
•膝関節の角度が90°以下の時、膝屈曲モーメントはほとんど認められなかった。
私見・明日への臨床アイデア
•ゴムが十分に引き延ばされ、離した時に力強く縮むように、筋も十分に引き延ばせるという事は力の発揮にとても大切である事が分かった。収縮させる力だけを見るのでなく、力を蓄えたまま遠心的にどれ程伸ばせるかも大切であると感じました。
•腓腹筋の機能評価として、膝伸展・足関節背屈角度の評価は有用である。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)