vol.189:水中運動療法と膝伸展トルク 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
脳卒中者の膝伸展トルクに対する水中トレッドミルトレーニングの効果
Effects of underwater treadmill walking training on the peak torque of the knee in hemiplegic patients?PubMed Dong-geol Lee J Phys Ther Sci. 2015 Sep; 27(9): 2871–2873.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・水中でのトレーニングは浮力により過剰な下肢各関節への負荷を軽減し、地上より効率的に下肢筋力トレーニングを行える可能性がある。今回、脳卒中者に対して水中トレッドミルトレーニングを行っている文献を見つけ、読もうと思った。
内 容
背景・目的
・水中での運動療法は歩行能力、下肢の安定性、筋力、バランス、運動学習に有効と言われている。
・脳卒中者に対して水中トレッドミルトレーニングが歩行と姿勢保持に有効だと言われているが、文献の数としては十分とは言えない。本研究は水中トレッドミルと地上でのトレッドミル歩行を比較検討する。
方法
・32名の脳卒中者を実験群(水中トレッドミル)と対照群(地上トレッドミル)に分けた。
・実験群は20分間の水中トレッドミルを行った。
・膝伸展・屈曲トルクは座位にてハンドヘルドダイナモメーター(The Isokinetic Dynamometer, BIODEX, USA)を使用して計測した。
結果
表:実験結果
・介入前後では実験群、対照群ともに膝伸展・屈曲トルク(角速度60°/秒)の向上が認められた。水中トレッドミルが実験群より有意に改善した。
・角速度120°/秒でも膝伸展トルクは両群で改善が見られた。また水中トレッドミルで対照群より改善が見られた。膝屈曲トルクは実験群のみ介入前後の差が得られた。
私見・明日への臨床アイデア
・水中でのトレーニングは地上でのトレッドミル歩行より膝伸展屈曲トルクの大きな改善が得られた。水中では静水圧による抵抗によって膝伸展トルクをより要求できたり、浮力による上半身質量の軽減により過剰な代償運動を軽減できたりと、歩行練習をより効果的に行うことができたのではないか。自立度の高い脳卒中者に対してプールでの運動を勧めることは有意義かもしれない。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)