vol.206:腰椎過前彎者の腹部ドローインと股関節伸筋運動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
腰椎過前彎者の股関節伸展に腹部ドローインを合わせた際の大殿筋、ハムストリングス、脊柱起立筋の筋発火時間の検討
Effect of abdominal drawing-in maneuver during hip extension on the muscle onset time of gluteus maximus, hamstring, and lumbar erector spinae in subjects with hyperlordotic lumbar angle?PubMed Taewoo Kim J Physiol Anthropol. 2014; 33(1): 34.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・腹圧を高めることで下肢や上肢の筋活動が高まることをよく臨床で経験する。実際に筋活動を腹部ドローインの有無で比較した論文を見つけ、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・骨盤のアライメントは姿勢やバランスに大きく影響を与える。
・腰椎過前彎は脊柱可動性の低下や股関節伸筋筋力の低下を招く。
・過前彎に対して股関節伸筋のトレーニングを行うが、腰部が不安定では逆に過前彎を増強してしまうことがある。
・上記問題に対し、股関節伸筋トレーニングと同時に腹部ドローインを行ってもらう方法がある(ADIM: abdominal drawing in maneuver)。
・本研究ではADIMと股関節伸筋を合わせて行った際の股関節伸筋や脊柱起立筋の筋活動を検討する。
方法
・30名の被験者を腰椎過前彎群(HLLA)と正常群(NLLA)に分けた。
・アウトカムとして立位での骨盤傾斜角度を計測した。また、筋電図を用いて大殿筋、ハムストリングス、脊柱起立筋の筋活動を記録した。
・腹部ドローインをしながら股関節伸展、ドローインせずに股関節伸展の2パターンを計測した。
結果
表:実験結果 Taewoo Kim (2014)より引用
・腰椎過前彎群(HLLA)は腹部ドローインによってハムストリングス、大殿筋の筋活動が高まったが、有意差がみられたのは大殿筋のみだった。脊柱起立筋は腹部ドローインによって筋活動が有意に低下した。
私見・明日への臨床アイデア
・腰椎過前彎者に対し、腹部ドローインと股関節伸展運動を組み合わせると大殿筋、ハムストリングスの筋活動が高まり、逆に脊柱起立筋の筋活動を弱めることができ、腰椎前後彎正常者に対しても概ね同様の結果だった。
・腰痛を持つ利用者様は股関節伸展運動をしようとしても脊柱起立筋が先に活動してしまうことが多い。腹部ドローインを併用することが有意義だと思われる。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)