vol.166:脳卒中者の歩行と転倒恐怖感 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行、バイオメカニクス
タイトル
脳卒中者の歩行パラメータと転倒恐怖感
Relationships of Stroke Patients’ Gait Parameters with Fear of Falling
?pubmed Jin Park J Phys Ther Sci. 2014 Dec; 26(12): 1883–1884.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・「歩いているときに転倒したらどうしよう」と訴える利用者様によく遭遇する。今回、脳卒中者の転倒恐怖感と歩行についての文献を見つけたため、読もうと思った。
内 容
背景・目的
・56%の脳卒中者が退院した後2カ月以内に転倒を経験するという。
・脳卒中者の歩行はスピードの低下、耐久性低下、歩容異常などの問題を呈し、転倒のリスクが高い状態にある。
・転倒恐怖感が歩行に関連することは証明されているが、実際に歩行パラメータを出した研究は少ない。本論文では脳卒中者の転倒恐怖感と歩行パラメータを検討する。
方法
・12名の脳卒中者
・Biodex Gait Trainer 2という機器によりトレッドミル歩行のスピード、ステップ長、一歩行周期の時間、一側の立脚時間を計測
・Survey of Activities and Fear of Falling in the Elderly (SAFE)で転倒恐怖感の評価(選択肢1~4の質問紙)
結果
表:実験結果 Jin Park (2014)より引用
・一歩行周期の時間のみ有意な相関関係が得られた(-0.581)
私見・明日への臨床アイデア
・転倒恐怖感があるほど一歩行周期の時間が遅くなるという結果が得られた。Hong (2016)
によると、0.7m/s以下の歩行は転倒の予測因子であるとの報告があり、スピードの遅い歩行は転倒しやすく、恐怖感が生じやすいと言える。転倒予防と言ってもターゲットが絞りづらく、アプローチしづらいと感じるときがある。転倒と歩行スピードが関連するならば、いかに歩行スピードを向上させるのか?減速させる要因はなにか?と推論を深めることで、転倒予防につなげることができるかもしれない。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)