vol.167:歩行スピードと中殿筋活動 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
歩行、バイオメカニクス
タイトル
歩行スピードの違いによる中殿筋の筋活動
Muscle Activity of the Gluteus Medius at Different Gait Speeds
?pubmed Su-Kyoung Lee, J Phys Ther Sci. 2014 Dec; 26(12): 1915–1917.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・臨床にて中殿筋に着目することは多い。今回、歩行スピードとの関連を検討しており、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・中殿筋の弱化、機能低下により股関節痛や腰痛につながることがあり、その機能の理解は臨床において重要である。
・本研究では中殿筋の筋活動を異なる歩行速度で比較していく。
方法
・健常成人18名
・EMGを用いて中殿筋の筋活動を記録した。比較対象として大殿筋。広背筋を記録。
・トレッドミルでの歩行とし、速度は1.5、2.5、3.5m/sとした。
結果
・中殿筋は歩行速度が上昇しても活動に有意差はなかった。
・広背筋・大殿筋は歩行速度の上昇に伴い活動が増加した。
表:実験結果 Su-Kyoung Lee (2014)より引用
私見・明日への臨床アイデア
・中殿筋の活動は歩行スピードと関連しなかった。表をみると、むしろ歩行スピードの上昇に伴って活動は減少している。仮説だが、速度の上昇は重心の上下移動を増加させ、推進力を増やす代わりに側方移動を減少させるのではないか?重心の側方移動が減れば、中殿筋は少ない活動で済むのではないだろうか。
・大殿筋、広背筋は速度の上昇に伴い活動が増加している。この二つの筋力の向上が歩行速度を増加させる可能性がある。転倒と歩行速度には関連があり(Hong, 2016)、転倒予防としても上記筋をターゲットにすると良いかもしれない。
参考文献
Hong, C. et al. (2016) ‘Gait Speed Cut-Off Point as a Predictor of Fall in Community-Dwelling Older Adults: Three-Year Prospective Finding from Living Profiles of Elderly People Surveys in Korea’, Korean Journal of Family Practice, 6(2), pp.105-110.
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)