vol.197:立ち上がり動作と視覚の関係 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
立ち上がり動作における視覚の影響
The effects of vision on sit-to-stand movement
?PubMed Akkradate Siriphorn J Phys Ther Sci. 2015 Jan; 27(1): 83–86.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中の患者様が立ち上がり前に下方を眼で確認してから起立動作に移るのを臨床で頻繁に遭遇する。麻痺側の感覚低下を視覚で代償しているためであり、視覚が立ち上がりに大きく影響しているのは間違いない。今回、開眼・閉眼で立ち上がりのパラメータを比較した論文を見つけ、データではどのように違いがあるか知りたいと思い読むことにした。
内 容
背景・目的
・視覚、平衡覚、体性感覚を用いて人間はバランスを保つのは周知の事実である。当然視力の低さは姿勢制御に影響し、低視力の高齢者は視力が正常の高齢者に比べて姿勢の動揺が強かったとの報告もある。
・本論文は立ち上がり動作時おける視覚の重要性を検討する。
方法
・23名の健常成人
・すべての被験者は開眼、閉眼の2条件で3回の立ち上がりを行う。
・開眼の立ち上がりを最初に行う群をOC群、閉眼の立ち上がりを最初に行う群をCO群とする。
・アウトカムは
①weight transfer time: COG(身体重心)が足部まで移動する時間
②rising index: 下肢が下方へ押す力(体重で除した値)
③COG sway velocity: 離殿~立ち上がり5秒間のCOGの動揺速度
結果
表:実験結果
Akkradate Siriphorn (2015)より引用
・閉眼は開眼に比して有意に①weight transfer timeが短く、③COG sway velocityは速かった。
・②rising indexに変化はなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・閉眼によりCOGの動揺が速く、制御できていないことが伺える。同様に体幹前傾の速度が速く、フィードバック機構が開眼に比べ機能していないことがわかる。閉眼での立ち上がりをプログラムに入れることでより体性感覚、平衡覚を強調して練習することが可能であろう。
・開眼、閉眼で各肢節の運動にどう変化があったかもデータとしてあるとより臨床に活かしやすかったと思う。
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職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)