vol.227:脳波によるフィードバックと視覚認知 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
脳卒中者の脳波と視覚認知に対するニューロフィードバックの効果:ランダム化比較試験
The effect of neurofeedback on a brain wave and visual perception in stroke: a randomized control trial?PubMed Hwi-Young Cho J Phys Ther Sci. 2015 Mar; 27(3): 673–676.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・ニューロフィードバックというアプローチを初めて聞き、興味を持ったため読みたいと思った。
内 容
背景・目的
・認知は脳内の情報処理と定義され、意思決定、注意、記憶、遂行機能や問題解決などの能力のことである。
・ニューロフィードバック(NFB)は比較的新しい認知リハビリテーションのひとつで、脳波をフィードバックし、値を一定の範囲に収めることで覚醒レベルを向上したり、その他認知機能の向上を図ったりすることを目的とする。
・β波は集中と反応時間を改善させると言われており、NFBでは視覚・聴覚を通して脳波、ひいては脳機能の改善を図る。先行研究では頭部外傷の患者にNFBを用い、視覚、記憶、集中力に改善がみられたが、まだ十分に研究されていない分野である。
・本研究はNFBが視覚と脳波に与える影響を検討する。
方法
・27名の脳卒中者を2群(NFB群13名、コントロール群14名)
・コントロール群には一般的理学・作業療法を1日1.5時間を週5日、6週間実施し、NFB群には同様の理学・作業療法に加えてNFBを行った。
・NFBは30分実施した。被験者は座位にて4つのゲームを行った。シューティングゲーム形式で、機体の操作は脳波の高低で行った(例:脳波が高ければ機体が前進など)。
・アウトカムは脳波とmotor-free visual perception test (MVPT)を行った。MVPTはVD:物体識別、FC:物体と背景の識別、VM:物体記憶、VC:不鮮明な物体の認知、SR:身体がどの位置にあるかを認識の5つの項目で成り立つ。
結果
表:実験結果 Hwi-Young Cho (2015)より引用
・NFB群は介入前後で有意にβ波の割合が増え、注意・集中を表すスコアに上昇がみられた。
・NFB群は介入前後でMVFT全ての項目に有意な改善が見られた。
私見・明日への臨床アイデア
・NFBによってβ波は増え、注意集中力や視覚認知機能に向上がみられた。ただ、介入方法である「脳波をフィードバックし、脳波の増減を意図的に増減する」というアプローチはいまひとつ理解ができなかった。ゲームに集中することで覚醒や集中力が単純に増加しただけではないのだろうか。よりNFBの理解を深めるために、実際に体験したいと思った。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)