vol.249:半側空間無視に対する身体知覚運動の効果 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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半側空間無視に役立つ動画
カテゴリー
神経系
タイトル
急性期脳卒中患者の半側空間無視に対する身体知覚運動の効果
Effects of body awareness training on mild visuospatial neglect in patients with acute stroke: a pilot randomized controlled trial.?PubMed Bang DH J Phys Ther Sci. 2015 Apr;27(4):1191-3. doi: 10.1589/jpts.27.1191.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
半側空間無視に対するアプローチを探しており、本論文を見つけたため読んでみようと思った。
内 容
背景・目的
・半側空間無視によって機能回復が阻害され、日常生活に障害をきたす利用者は多い。
・Body awareness training (BAT 身体知覚トレーニング)は動的バランスと姿勢安定性向上を目的としたアプローチであり、安定性限界の中で単純な動作を反復して行う。
・主観的垂直軸を意識しながら様々な運動を行うことは、半側空間無視に対しても有効のように思われるが、実際にBATが半側空間無視にどういった影響を及ぼすか調べて研究はない。
・したがって、本研究はBATと半側空間無視の関係性を調べる。
方法
・12名の脳卒中者を実験群と対照群の2群に分けた。
・実験群は課題指向型アプローチに加えてBATを実施し、対照群は課題指向型アプローチのみとした。
・Motor-free Visual Perception test (MVPT)と Line Bisection Test (LBT)にて半側空間無視、 and modified Barthel index (MBI)にて動作の自立度を評価した。
・BATでは裸足立位・座位にて身体正中位を意識させながら単純な体幹や上肢運動を行わせた。
・介入は1日30分、週5回、3週間実施した。
結果
表:実験結果 Bang DH (2015)より引用
・両群ともに介入後にMVPT、LBT、MBIの改善がみられ、群間の差も全てのアウトカムでみられた(実験群でより大きい改善)。
私見・明日への臨床アイデア
・身体正中位を意識しながら体幹・上肢の運動を行うことで半側空間無視の改善がみられた。正中位を意識するというのは利用者に対し指示するだけなので臨床で取り入れやすい。ただ、意識することができない利用者がおそらく多いと思うので、鏡や口頭指示などでフィードバックをしながら行うことが大事だと思われる。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)