筋紡錘の加齢変化について 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
体性感覚器の加齢:翻訳的視点
Aging of the somatosensory system: a translational perspective.?PubMed Shaffer SW Phys Ther. 2007 Feb;87(2):193-207. Epub 2007 Jan 23.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
筋紡錘の加齢による変化を知りたかったため、本論文を読もうと思った。
内 容
筋紡錘 構造と機能
図:筋紡錘 Shaffer SW (2007)より引用
・筋の伸張を感知する器官で、筋の長さと収縮の速さの情報を脳に送る。
・結合組織と錘内線維で構成されており、錘外線維と平行に配列されている。
・錘内線維は核袋線維と核鎖線維で構成されており、付着部の錘内線維は収縮組織、中央は非収縮組織である。
・核袋線維、核鎖線維はIa群線維、Ⅱ群線維と通して感覚情報を脳へ送っている。
・γ運動ニューロンは錘内線維の収縮組織を収縮させ、伸張に対する感度を調整している。特に筋が短くなった際に働く。
・筋紡錘からα運動ニューロンへの信号は単シナプス性の伸張反射となり、一方で脊髄介在ニューロンを経由し他の筋を促通、抑制することで協調的な運動を可能としている。
・α、γ運動ニューロンは関節・皮膚受容器、脊髄介在ニューロンからの統合された情報も受けている。
筋紡錘 加齢変化
・ヒトの遺体を用いた研究では、筋紡錘細胞膜の肥厚と錘内線維の減少が認められた。また、軸索の球状浮腫、運動終盤の拡大、脱神経による筋紡錘の変形がみられた。
・他の研究では三角筋、短指伸筋に筋紡錘直径の減少があり、加齢とともに径の減少がみられたが、大腿四頭筋、上腕二頭筋には見られず、径の減少は部位特異性があると示唆された。
・また、上腕二頭筋を調べた研究では錘内線維、核鎖線維の減少がみられた。一方で核袋線維に減少はみられなかった。この研究から加齢により静的な筋の長さ感知(一定長にある筋の長さを知覚する)に影響がでるのではと筆者の意見があった。
・ラットを用いた研究では、筋紡錘の静的、動的感度は加齢とともに減少することがわかった。
私見・明日への臨床アイデア
・筋紡錘の加齢変化について調べた。高齢者のバランス低下の一因を知ることができた。筋によっては加齢変化が少ない可能性が示唆されており、その違いがどこから来るのか興味深かった。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)