vol.368:感覚に優れた手について  脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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vol.368:感覚に優れた手について  脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

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手のリハビリに役立つ動画

    https://youtu.be/I2PxGsb_olI

 

カテゴリー

神経系

 

 

タイトル

感覚に優れた手について

 

The sensory hand  Brain Edward G. Jones et al.(2006)

 

 

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

 

・脳卒中後の手指機能の訓練に携わることが増え、手指機能について考えを膨らませたかったため。

 

 

内 容

手と感覚について

 

・人は目と手で世界を探索します。手の探索能力は、他の全ての感覚を超越した質を有し、能動的な触覚をもたらします。対象物に関する情報を知覚し、中枢部に伝達します。手の探索能力の例として点字が挙げられます。1分あたり最大100語の速度で一連の隆起したドットのパターンを意味ある言語に翻訳するアクティブな人間の手の高解像度感覚能力を観ると、指の中の機械受容器から生成される神経信号を迅速に認知中枢にアクセスする人の高度な能力が窺えます。

 

 

・The Principles of Anatomy as Seen in the Hand (1919)では、可能性の尽きないものとして魅力的な運動器としての「手」に焦点が当てられたています。人間の手の動きの「正確さ」と「器用さ」は器用な脳を示していて、脳の実行器官として手を見ました。手は脳の鏡であり、「器用な手と不器用な脳のような組み合わせはあり得ない」と書かれています。Wood Jonesは「完璧なのは手ではなく、手の動きを呼び起こし、調整し、制御する神経系全体のメカニズム」と発言しました。

 

 

・手は幸せなほど高性能に造られている。手の皮膚・筋肉および関節は最大14種類の神経線維によって神経支配され、それぞれが様々な特性を変換およびコード化します。人は温度の変化を感じ、あらゆる方向や範囲に適切に動かし、対象物に触れ、様々な物を扱ったり、作ったりとロボットなど作られたものでは真似できない能力を有します。

 

 

 

 

 

・類人猿の短い親指は、人間のと同じくらい容易に回転可能であるが、その先端を人差し指または他の指の先端と完全にあわせることはできない。したがって、人間のそれと比較すると、精密な握りは不完全である。手は単に器用な道具ではなく、指同士の配列は向かい合った指先の動きや触診された物体の形状・大きさ・柔らかさまたは硬さ・質感・滑り・粘りおよび温度から、それが何かを知ります。

 

 

・機械受容体の豊富で多様な配置による手および指の皮膚の神経支配は、能動的な接触の道具としての手の驚くべき能力の根底にあります。指で操作された対象物の向き・割れ目・高さ等において0.1mmのスペースや0.75 mm未満の差で質を検出できます。また、300 Hzで0.01μmという小さな振幅の振動刺激を検出でき、20〜40 Hzの基本周波数で2〜3 Hzの差を識別できます。

 

 

・指の位置感覚は、深指屈筋など前腕の長い筋腹の中の伸張受容器や筋長のモニター・筋紡錘等と同様に、指の関節を覆う皮膚の受容体が関節の動きの間に起こる皮膚の伸張に対して特に敏感であることが示されており、前腕の筋や手の中の皮膚受容体等に大きく依存し得ます。

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

 

● 脳卒中後には、上記のような可動性や知覚能力が低下する事が多い。手で自身を探索するという事を考えた時に、どの程度・どのような質ならば手から知覚できるのかを評価することは大切かと本論文を読んでいて感じた。手が探索能力があるといって、闇雲に手をつけていれば良いわけではない。どの程度であれば探索できるのかを知り、それを治療に活かす必要があると考えた。また、ただ手を置くのでなく、質感・滑り・粘りおよび温度など様々な感覚があるのでルートを考えられると新たな発見があるかもしれない。

 

 

 

氏名 shuichi kakusho

職種 理学療法士

 

 

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