vol.247:視覚フィードバック付きリーチ動作が上肢機能に与える影響 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系、上肢
タイトル
脳卒中者の上肢機能に対する視覚フィードバック下のリーチ動作の効果
Effect of spatial target reaching training based on visual biofeedback on the upper extremity function of hemiplegic stroke patients.?PubMed Kim CY J Phys Ther Sci. 2015 Apr;27(4):1091-6. doi: 10.1589/jpts.27.1091.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・リーチ動作を練習に取り入れることは多い。今回、視覚フィードバックと組み合わせた論文を見つけ、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・多くの脳卒中者が上肢の機能障害を有して生活を送っている。
・上肢機能に対するアプローチは数多くあるが、その中でリーチ動作は上肢機能改善に有効であり、脳の可塑性を促進することがわかっている。
・また、視覚フィードバックを用いた上肢のリハビリテーションは効果があるとの報告も見られている。
・視覚フィードバックとリーチ動作を組み合わせた論文は少ないため、本研究は上記二つによって上肢機能の改善が得られるかを検討する。
方法
・40名の脳卒中片麻痺者を2群(実験群:視覚フィードバック下リーチ動作あり、対照群:視覚フィードバック下リーチ動作なし)に分けた。
・介入期間は4週間。
・椅子座位にて麻痺側のリーチ動作を実施。被験者の前額面上においた空き缶をターゲットとする。視覚フィードバックはモニターにて表示され、体幹の代償運動が出た場合に被験者にフィードバックする仕組みだった。
・アウトカムはthe Fugl-Meyer (FM) test of UE、the Wolf Motor Function Test (WMFT)、動画解析によりリーチ動作のスピード、肩関節角度、リーチ距離とした。
結果
表:実験結果 Kim CY (2015)より引用
・FM、WMATにおいて両群ともに介入後の改善が見られた。
・実験群ではリーチスピード、リーチ時の肩関節角度に介入後の改善が得られた。対照群ではこれらのアウトカムに変化がなかった。
・リーチ距離は両群ともに改善が見られた。群間の差は見られなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・体幹の代償運動に対し視覚フィードバックを与えることでリーチ動作の有意な改善が得られた。臨床では鏡を用意する、代償運動が見られた際に口頭にて伝えるなど行うと同様の効果が得られるかもしれない。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
上肢のハンドリングに役立つ動画
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)