vol.308:肘部尺骨神経損傷の部位と回復速度 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
上肢、神経系
タイトル
肘部尺骨神経損傷の回復の特徴
Recovery features in ulnar neuropathy at the elbow?PubMed Pelin Yıldırım J Phys Ther Sci. 2015 May; 27(5): 1387–1389.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・尺骨神経麻痺の回復速度の性差や年齢差を調べた論文を見つけ、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・肘部尺骨神経の慢性的な圧迫による神経損傷は、上腕の神経損傷の中で2番目に多いと言われている。
・損傷部位の特定と診断には神経電動検査が用いられ、感度は一般的な伝導検査と同程度だが、特異度は高い結果を得ている。しかし、治療法はまだ統一には至っていない。
・したがって、本研究は年齢、性別、損傷部位が回復速度にどういった影響を与えるか、中程度の尺骨神経損傷患者を対象に検討する。
方法
・36名の尺骨神経麻痺患者
・尺骨神経麻痺が0-4週間で回復した被験者をグループ1(24名)、4-6週間の被験者をグループ2(11名)とした。
・神経損傷は絞扼部位により以下の3つに分類した。
・HUA(肘部管)
・RTC(後内側上顆)
・MIS(内側上腕筋間中隔)
結果
表:実験結果 Pelin Yıldırım (2015)より引用
・絞扼部位の割合はRTC54.3%、HUA22.9%、MIS22.9%だった。
・グループ1は被験者の68%が該当した。
・両群ともに年齢、絞扼部位での差は見られなかった。
・性別では群間の差が見られ、グループ2の男性の割合が女性に比べ有意に大きかった。
私見・明日への臨床アイデア
・後内側上顆での圧迫が一番多い結果となった。小指側の痺れに対し、同部位の影響がないか臨床推論をしていきたい。
・男性は回復がより遷延しやすいという結果となった。回復の見通しを患者様に説明する際の参考にしたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024)